2015年04月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO61

◆企業再生はカウンセリングで始まりカウンセリングで終わる

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2015.4.01


 企業再生の相談を受けて強く感じることは、なぜもっと早い時期に『相談する』という行動をとらなかったのだろうかという点です。大企業の経営者も中小零細企業の経営者も経営者の共通の課題は株主や従業員に対する「責任感」であり、さまざまな想いを行動に移す際の「孤独感」ではないでしょうか。
 特に経営危機に陥ったときの経営者として「判断」と「決断」と「行動」に迷いが生じることがないよう、日常的に企業理念と危機対策を明確にしていなかったことを後悔しつつも、いたずらに手を付けず放置したまま月日が経ってしまう経営者自身の閉ざされた思考による行動に、大きな扉を開き活路への灯明をかざすリスク・カウンセラーの役割があるので活用してほしいものです。

1.企業再生におけるカウンセリングとスクリーニング

 企業再生の相談があると「簡易診断とスクリーニング」を実施しますが、どんな場合でも経営者個人へのカウンセリングから始まります。
 もちろん経営している企業に関する経営者の想いをあるがままに話していただける時間なのですが、時には家族の問題が微妙に絡んでいる場合もありますので、経営者だけのカウンセリングを行いますが、配偶者からの相談であったり、経営者が同席を希望される場合はご夫婦でのカウンセリングもあるのですが、可能な限り経営者だけの時間を作っていただきます。

中小企業経営者のメンタルに関して特徴的なのは・・・
・経営者の悩みは自分で解決するしかない。
・自分自身いつも仕事上のストレスがある。
・経営者は孤独だと感じている。
・従業員には弱気な態度は見せられない。
・経営者や従業員にもメンタルヘルスが重要だと感じている。
・現在も精神面での健康に不安がある。

 経営者の約50%以上の人がこのような悩みを持ちつつ経営に当たっている実情から鑑みて、経営危機に直面した際に最優先に経営者の「心の健康」に目を向け、時間をかけてカウンセリングを受けていただき、「ラポール(相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係)」を醸成し、これまでの苦悩やさまざまな想いが詰まった心の解放から、クライアントの主訴をしっかり受け止めることによって「スクリーニング」がスムースに運ぶようになります。

2.スクリーニングで行うことは・・・

 事業再生の際に行う「スクリーニング(ふるい分け)」とは、多くの経営資料の中から過去から現在までの実績を基に客観的な視点で整理し、経営指数に置き換えてデータの矛盾点や異常を発見するための地道な作業なのですが、可及的速やかに短期間で進めています。
 つまり、医療の現場でおこなう適格審査で、健康な部分も含めた身体の全体の中から,異常な疾患部分や発症原因を突き止め選別する作業なのです。
 したがって、経営者として覆い隠していた部分も暴露されることになりますので、スクリーニングを実施する際、必ず事前に行う「カウンセリング」による『ラ・ポール』は、経営者の尊厳や人格を配慮しつつ、粛々と進める『修正できない過去の真実』を開示させるためには必要不可欠なものです。

「スクリーニング」で行うことは…

 @5〜10期分の決算書の分析
 A「実態貸借対照表」の作成と分析
   ・債務一覧表と保証債務の相関関係
   ・資産内容の時価評価
 B再生のための「資金繰り表」作成と検討
 C取引先情報と業界情報の収集
 Dスクリーニングの結果報告書

 客観的な視点で整理された「スクリーニング」の結果報告の後に『デューデリジェンス(due diligence)』を行いますが、企業としての資産価値、収益力、リスクなどを経営力、財務力、法務問題、経営環境などを、調査による分析データと併せて検証し「再生可能条件」または「整理プログラム」を説明します。

 その際に重要になってくるのは、現経営者の「心と身体」の健康状態であると考えています。
 「再生計画」に沿って実践をするためには「金融機関」や「取引先」「従業員」そして「家族」の深い理解と協力がなければ、経営者としてかつて体験をしたことがない未知の世界に臨むことになるので、その経営者をサポートする専門家の役割は重要です。

 組織を率いる社長は、基本的には自分ひとりで決断しなければなりませんが、前述の『経営者は孤独だと感じている』という気持ちの所以だと考えます。


3.企業再生の取り組みに寄り添う…『カウンセリング・マインド』

 経営危機によって「心」にダメージを受けた経営者のストレスは計り知れないものがあります。
 事業再生を進めるに当たって経営者の精神的な負担をいかに軽くするか、そして、経営危機との遭遇により落ち込み言動を抑制していた状況から脱皮して、本来のバイタリティーが発揮できるように支持することで、過去を振り向き落ち込む「マイナスのスパイラル」から、みなぎる活力と思考回路の全開によって新たなオーラとなって前進できる「プラスのスパイラル」を引き出す為の『カウンセリング・マインド』が大切です。

 経営者が今までに気がつかなかった潜在能力の再認識による経営改革は、会社に関係する人々や家族に対する接し方にも変化が生じ、ゆとりと温もりの感じられるスマートな経営者に転身できるのです。


 ストレスが多い中小零細企業経営者にも「カウンセリング」への関心が高まりつつあり、企業経営における外部スタッフとして「経営者カウンセラー」を活用する社会に変化しつつあることは望ましいと考えます。

 「リスク・カウンセラー」は、問題が発生したときに活用する人ではありません。問題が発生しないようにリスクを考え、問題発生を未然に防ぐことにお役立てください。
                                              以上


「企業再生支援チーム」を、疲弊企業の「救急救命隊」と位置づけて、
積極的にご利用いただければ幸いです。


【PDF】で印刷できます。




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2015年03月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO60

▲シンジケートロ−ンの注意点
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 2015.03.01



 シンジケートローンとは、大企業のプロジェクトなどの資金調達に対し、一金融機関で資金融資が困難な場合、中心となる金融機関が他の複数の金融機関と協調して、同一の融資条件のもと、同一の時期に、同一の融資契約書に基づいて貸し出すというものです。
 しかし、最近では中堅・中小企業に対してもシンジケートローンによる資金調達の勧誘が幅広く行われています。
 シンジケートローンは、下記の通り一般の貸付と大きく異なる条件で取り組まれます。この条件は中小企業にとって厳しいものなので、よく理解して取り組むことが大事です。

1.通常の融資とは異なる条件
(1)「貸付実行の前提条件」
 シンジケートローンの場合、通常、契約締結日から融資実行日までの間が数日空いており、この間に参加金融機関が個別に貸付実行前提条件を充たしているかどうかを判断します。
 貸付実行前提条件を1つでも充足しないと判断した場合は、その金融機関からの貸付は実行されないことになります。

(2)「表明・保証事項」
 シンジケートローンの場合、契約時や貸付時にこれらの表明及び保証に反する事実があれば、貸付実行前提条件を充足しないということで貸付が実行されないことになります。
 表明・保証事項の内容としては、表明・保証が真実かつ正確であること、計算書類等の正確性や重大な訴訟係属がないことなどがあり、さらには、期限の利益の喪失事由発生のおそれがないことなども含まれる場合があります。
 そして、表明・保証事項に反する事実の有無は貸し手である銀行が判断するので、単なる客観的事実の有無ではなく評価的要素も含まれることになります。借り手企業が、表明及び保証に反する事実はないといくら主張してみても通らないことがあります。

(3)融資期間中に債務者企業が遵守すべき義務
 シンジケートローンの場合、年度ごとの財務状況の報告義務に加え、重要な資産の処分の制限、新規の借入の制限、格付けの維持、財務制限条項の遵守などの条項が設けられています。
 これらの制限を解除してもらうためには、参加金融機関の一定多数(融資残高の過半数や3分の2以上など)による承認が必要とされます。
 特に、財務制限条項は、決算期の自己資本比率やキャッシュフローを一定以上に維持することなど、財務上の制限を定めています。この条項に違反すると、期限の利益喪失事由に該当することになりますので、債務者企業として大変に重視しなければならない条項です。

2.手数料
 シンジケートローンでは手数料がかかります。通常の金利に加え、アレンジャーに支払うアレンジャーフィー、各金融機関に支払うアップフロントフィー、融資期間中にエージェントに支払うエージェントフィーなどが手数料として発生します。一時的に多額の出費を余儀なくされるということになります。


 シンジケートローンでご相談のある方は、企業再生支援チームかBAC事務局までご連絡下さい。

以上





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2015年02月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO59

★ベンチャー企業等における青色欠損金等の繰越控除限度額制度等の創設

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2015.02.01


1.制度の概要

 平成27年度税制改正では、赤字が先行しやすいベンチャー企業及び企業再建を行う企業について、雇用やイノベーションを生み出す創業及び円滑な事業再生を促進する観点から、繰越控除限度額100%相当額で7年間の繰越控除が可能とされる新たな欠損金繰越控除制度が創設されます。
 この仕組みによって、ベンチャー企業及び事業再建を行う企業の税負担が7年間軽減されるため、そのキャッシュフローが前向きな投資に回り、ベンチャー企業の成長、発展及び迅速な事業再生が可能とされます。

2.ベンチャー企業

 法人の設立(合併法人にあっては合併法人又は被合併法人のうちその設立が最も早いものの設立等)の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については、控除限度額を所得の金額とされます。
 ただし、金融商品取引所に上場された場合等におけるその上場された日等以後に終了する事業年度は対象外とされます。

(注)対象となる法人から、資本金の額等が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ  内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人(以下「グループ子法人等」といいます。)  が除外されます。

3.事業再建を行う企業

 更生手続開始の決定があったこと、再生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた法人については、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については、控除限度額を所得の金額とされます。
 ただし、金融商品取引所への再上場等があった場合におけるその再上場された日等以後に終了する事業年度は対象外とされます。

図表 欠損金の繰越控除制度の比較
区     分現 行平成27年度税制改正
平成27年度平成28年度平成29年度
ベンチャー企業繰越控除限度額―――100%100%100%
事業再生の企業繰  越  期  間―――7年7年7年
中小法人等(注)繰越控除限度額100%100%100%100%
繰  越  期  間9年10年10年10年
上記以外の大法人繰越控除限度額80%65%65%50%
繰  越  期  間9年10年10年10年

注)「中小法人等」とは、各事業年度終了の時において資本金の額が1億円以下である普通法人(グループ法人  等を除きます。)その他一定の法人とされます。

4.適用関係

 上記2及び3の改正は、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されます。


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2015年01月05日

月刊・企業再生サポート情報 bO58

◆企業の活性化に「執行役員制度」の導入を!
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2015.01.01


1.なぜいま、執行役員制度なのか?
 最近、企業の規模の大小に関係なく「執行役員制度」を設ける例が多い。この制度の導入の背景には、取締役の人数が多くなり過ぎて、取締役会が形骸化したという問題があるとされています。
 その解決策として、取締役会の活性化と、意思決定の迅速化という経営の効率化を図ろうとして「執行役員制度」の導入があるとされています。

2.執行役員制度とは、どういうものか?
 執行役員とは、「会社業務を執行する役員」で、代表取締役や取締役のように商法上の役員ではありません。
 つまり、執行役員という名前の通り、「業務執行に関しては、相当の裁量権限」を有し、執行役員の位置付けは、
役員に準ずるものとされ、使用人の最上級職とされていますが、大きく分けて次の2つの制度があります。

3.委任型執行役員制度とは?
 会社と執行役員との契約を法律上の「委任契約」とするもので、「委任契約」は、両当事者ともいつでも解約する自由があり、受任者の独立性が認められ、裁量が広く、その対価として「報酬」が与えられるものです。
 任期は自由であり、委任者と受任者は対等な関係にあるとされ、会社と執行役員との間に支配服従関係はないという考え方が前提とされています。なお、会社法で規定されている役員としての責任の関係については、社内規定の内容にもよりますが、原則として株主代表訴訟の対象とはならないとされています。

4.雇用型執行役員制度とは?
 会社と執行役員との契約を法律上の「雇用契約」とするもので、「雇用契約」は、雇用主と従業員の力関係が大きく異なり、支配服従関係があり、従業員は、原則として、会社の指示に従わなければなりません。そのことから対価としては「賃金」として支払われ、労働基準法などの労働法制が適用されることになります。
 雇用型執行役員としての経営責任は、労働法制によりその責任追及には一定の制限があるとされています。

5.執行役員の役割は?
 執行役員の役割は、委任型であれ雇用型であれ、会社の特定の事業部門(営業部門とか生産部門とか)の業務執行を行う役員であり、一般的には、取締役と部長との中間的立場でその権限と責任に基づいて業務執行を担当する幹部社員(重要な使用人)という位置付けとされています。

6.執行役員制度導入のメリットは?
 執行役員制度は、会社法やその他の法律に規定がなく、その内容は会社が自由に決められます。企業の大小に関係なく活用出来ます。制度導入の背景には、取締役の人数が多すぎて、取締役会では経営に関する実質的な議論が出来にくくなり、意思決定に時間が掛かるようになったのを改善しようとして導入したものであり、この制度の導入で、会社の意思決定や監督機能は取締役会に、業務執行は執行役員にという「役割分担」が可能となり、小人数となった取締役会で迅速に意思決定することで、企業の活性化に期待が持てます。

7.執行役員制度導入で活性化した会社の事例
 赤字経営が続いていた会社で、労働組合から経営責任を問われたため、一部の役員を解任し、新規に役員に登用しようとした従業員が、経営責任を問われる役員に就任することを拒否し、退職してしまった。どのように対応すれば良いかと相談されたので、この執行役員制度の導入を勧めました。相談に来た社長は、執行役員制度については全く知識がなかったので、上記のような仕組みを話し、社長も勉強するよう指導しました。
 制度導入後の会社の状況は @執行役員となった者の「責任と権限」がはっきりし、執行役員として意欲が出て来たことから職場が活性化してきた A役員数が少なくなり、取締役会の意思決定が早くなり、迅速に指示されるようになり、会社全体が活性化し、業績回復に向かって全従業員が動き出したという。
 このように、本来の目的とは少し異なりますが、企業の活性化に繋がる制度ではないかと思い、導入を進めてみました。ご一考を!




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2014年12月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO57

▲平成26年 特許法等の改正
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2014.12.01



1.知的財産の法改正

 特許法における特許異議申立て制度の復活のほか、商標法における色彩や音の商標を保護する改正が、平成26年4月25日に可決・成立し、5月14日に法律第36号として公布された。
 余談になるが、知的財産に関する法律は、基本的に反対する政党がなく、(緊急性の高い法案の審議で先延ばしになることや、アノニマスのように著作権法の改正に反対する任意集団が公園の掃除をすることはあっても、)ほぼすべて国会を通ってしまう構図となっている。
 今国会でも、職務発明の見直しなど労使間での対立が予想される法案が先送りされたことなどから、平成26年の特許法等の一部改正として、可決・成立した。今後は、公布から1年以内(これまでの法改正から平成27年4月1日と思われる)に、この改正法が施行される。

2.色や音が商標として登録可能に

(1)法改正の必要性
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 法改正には、必要性が求められるが、商標法における色彩や音の商標の保護は、実際に産業界からのニーズが高かったわけではない。
 現行の商標法では、『「商標」は、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合・・・』と定義されており、色彩それ自体、音声、においは、商標の登録対象からは除外されているが、これらを求める社会的ニーズは高くない。
 というのも、色彩それ自体で識別力を発揮する場合は、それが特別なグラデーションになっているような例外的な場合を除いて、非常に限定的である。通常、色彩は、文字や図形等に付される付随的な構成要素に過ぎない。
 また、音や音声が識別力する場合も、それが特別なメロディや和音になっている場合など限定的である。通常、識別力を発揮する商標は、視覚を媒介として認識されるものであることを考えると、当然のことと思われる。
 それでは、なぜ、今回の法改正で、わざわざ色彩や音を保護対象とする法改正を行ったのだろうか?その理由は、韓国に先を越されたことだろう。米国との二国間協定で、日本に先んじて韓国は色彩や音を商標の保護対象としている。

(2)具体的な登録態様
 いずれにしても、我が国でも、法改正により色彩や音が商標の保護対象となった以上、これを自社のブランドとしてどのように活用するかが課題となる。
 例えば、色彩の商標については、図に示す法律案概要の参考資料にあるように、トンボのMONO消しゴムの3色の色彩のほか、コーポレートカラー(例えば、ティファニーブルー)といった1色についても、識別力が認められれば登録可能性が出てくる。
 また、音の商標については、同じように、法律案概要の参考資料にあるような久光製薬のコマーシャルフレーズのほか、インテルのコマーシャルフレーズなども登録されることなる。
 さらに、今回は、商標の定義自体を、『「商標」とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの・・』と変更したことから、ホログラムの商標、動きの商標や位置の商標も登録の対象となる。
 これを機に、自社を識別できる特徴要素をもう一度見直し、商標の積極的活用の機会とすべきであろう。

3.特許異議申立制度の復活

 復活というのは、もともと特許異議申立制度は、平成15年改正の平成16年4月1まで存在していたが、特許無効審判に統合され、廃止されていた。
 特許異議申立は、審査が終了して特許が付与されたものに対し(正確には、特許権の成立を公示する特許公報の発行から6カ月以内に)、異議を申し立てる制度であり、登録の信頼性を高めるものである。
 一方、特許無効審判は、特許権侵害訴訟に伴って当事者間で特許の有効性を争う場合が典型なように、権利の有効性を当事者間で争うものである。
 このように、特許異議申立と、特許無効審判とは目的を異にするものであるにも拘わらず、平成15年改正で統合されたのはなぜだろうか?
 答えは、(いろいろな説明はされているが結局のところ)特許庁の審理負担の軽減が本当だろう。
 そうすると、今回、特許異議申立制度が復活したのは、なぜか?その答えも特許庁の審理負担が少なったから(手が空いているから)というのも一理ある。
 ただ、特許異議申立制度が復活した理由は、もう少し複雑である。というのも、今回は、積極的に特許異議申立制度を復活させる必要があった。

 それは、早期審査の運用による影響である。通常、特許出願した内容が公開されるのは、出願から1年6カ月経過時の出願公開である。そして、この出願公開前に審査が終了するのは稀である。(参考までに、特許付与の平均審査期間は、29月、すなわち2年5カ月である。)
 しかし、早期審査を請求した場合には、出願から1年6カ月経過時の出願公開前に、特許が付与されてしまう。その結果、審査過程で第三者が情報提供を行うことができる情報提供制度が、機能しないという事態となっていた。特許異議申立制度を復活させたのは、このような(情報提供の機会なく)早期権利付与された特許の見直し制度を設ける必要性が生じたことによる。

 余談になるが、実務家として、短期間に特許網を形成する場合には、早期審査を利用することが多い。最初に、コンセプトで数件出願を行い、この数件について早期審査の事情説明書を提出する。早期審査の理由は、(@)中小企業、個人、大学、公的研究機関、TLOによる出願の場合、(A)外国関連出願の場合、(B)実施関連出願の場合、(C)グリーン関連出願の場合、(D)震災復興支援関連出願の場合など、多様であり、どれかには当てはめられる(どうしても困ったら、省エネを謳ってグリーン関連出願にすればよい)。
 そして、出願公開前に、特許査定を1件でも受けたら、これを中心に周辺出願を、この最初の1件の特許公報が発行される前に可能な限り行う。そうすれば、周辺出願は、障害になる先行技術文献がなく、最初の1件と特徴を基本的に同じくするためすべて特許査定に導け、特許網を形成することができる。

 今回、特許異議申立制度が復活するが、このような特許網の形成手法自体は、基本的に変わらない。理由は、特許異議申立制度は、成立した特許の取消のための制度であり、情報提供制度のように、そもそも特許を成立させないための制度ではないからである。
 ただ、特許網のすべての特許を異議申し立てにより取り消すことが困難だとしても、基本特許の1件程度を、関連する論文等を見つけて異議申し立てにより取り消すことはできるだろう。その意味で、今後は、競合他社の動向に注視し、新規開発等に伴う基本特許は、(仮に相手が早期審査により水面下で特許を取得しても)特許異議申立制度により確実に取り消しできるようにされたい。

4.意匠法の法改正

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 複数国に意匠を一括して出願可能なジュネーブ改正協定の加入に先立ち、国内意匠法の規定の整備を行った。
 これにより、意匠については、図に示すように、我が国特許庁を経由して複数の国に一括して出願することが可能になる。
 実際の施行は、ジュネーブ改正協定が我が国において効力を生ずる日以後になるが、海外の模倣品対策などは、意匠権の有無が大きな影響を与える場面もあるため、今後の活用が期待される。






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