2016年02月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO70

▲合併で注意したい消滅会社の事業目的
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2016.2.1



1.複雑化した株式の持ち合いの解消法

 弊所が長年お付き合いさせていただいた企業の一つに、同族経営だが株主が多く、そのなかで敵対株主がいた例を、ご紹介したいと思う。

 この会社は、LPガスの卸と小売りをしており、関東一円で、各県ごとに販売会社を7社持っていた。しかもその株主が少しずつ異なっていた。敵対株主からは、少しずつ株式を買い集め、どうしても敵対株主から株式を買い取れない1社を除き、まずは、株式移転で、ホールディング会社をつくり、7社のうち6社を完全子会社とすることができた。

 しかし、この6社ともLPガスの販売をしており、経営効率が良くないため、子会社のA社にLPガス販売事業を会社分割によって集約し、もう1つの子会社B社にLPガスの卸を集約した。そして、6社はLPガスを販売するために持っていた社屋等不動産保有会社となった(いわいる抜け殻会社である)。

 その後、敵対株主とも和解が成立したため、C社も会社分割によって、LPガスの販売事業を会社分割によってA社に分割した。A社とB社以外は、前述したとおり、LPガスを販売するために持っていた社屋等不動産保有会社となった(いわいる抜け殻会社である)ので、これらの不動産をホールディング会社に集約するために6社合併を行うこととなった。

2.合併で注意したい消滅会社の事業目的

 組織再編の時の注意事項で、本稿において許認可について充分注意するように再三指摘させて頂いていたが、今回、またしても合併時に事業目的が問題となった。

 通常、合併や会社分割を行う場合には、存続会社及び承継会社が許認可を持っていれば、消滅会社や分割会社の事業目的が問題となることは今まではあまりなかった。

 しかし、電力販売が自由化されたため、消滅会社に「電気の小売り」等の事業目的が入っていた。電気事業法により、電気事業者が合併や会社分割を行う場合には、官庁の許可が合併や会社分割の効力要件とされている。ただし、この許可を受けなければならない事業者は、経済産業省に届出をしているいわゆる大事業者のみであり、通常の中小企業は、この届出を行っていない。つまり、一般的な中小企業であれば、官庁の許可は、合併や会社分割の効力要件とはならない。

 しかし、法務局の登記官は、実質的審査権がなく、書面審査権しかないため、消滅会社の事業目的に「電気の小売り」が残っている以上、当該会社が「電気の小売り」を合併時にも行っていると推定せざるを得ない。そこで、登記が一旦止まり、登記官から「経済産業省から当該消滅会社が現在は、電気事業を行っていない旨」の証明書を出してもらって欲しいとの連絡が来た。経済産業省に問い合わせてみたが、「電気事業の届出を行っている旨の証明」はできるが、「当該会社が電気事業者の届出を行っていない旨の証明」はできないとのことであった。

 この旨を、登記官に伝え存続会社の代表取締役から消滅会社が電気事業を行っていない旨の上申書を提出することで、合併登記を完了してもらった。弊所では、組織再編を350件以上行っているが、消滅会社の事業目的が問題となったケースはほとんどなかった。ただし、今後は、前述のとおり電力売買が自由化されるので、消滅会社の事業目的で「電気の小売り」等が入ったまま合併してしまうと登記が却下される恐れがある。弊所は、今後合併等をする場合には、合併期日の前日に、消滅会社の事業目的を「不動産業」等の1つだけに変更登記を入れたうえで、合併登記を申請するようになった。充分注意したい点である。





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2016年01月05日

月刊・企業再生サポート情報 bO69

★“企業再生” 社長の意識が変われば会社が変わる
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2016.1.1 


 経営者が売上がジリ貧で資金繰りが危うくなってきたところから慌てて「企業再生」の相談に来られる場合が多いのが実情です。日頃から中小企業経営者にリスクカウンセラーからのメッセージをお送りし、経営者自らの気づきがあることに期待しつつ、気づきのタイミングが遅すぎる現状に改めて警鐘を鳴らさせていただき、経営者及び経営者の身近にいる家族と会計事務所の諸先生方にご協力をお願いしたいと考えます。

1.経営不振の原因は周囲の変化に気付かない『ガラパゴス経営者』

 経営不振に陥った経営者が言う言葉に・・・・。
「売上が伸びない・・・・」「部下が思うように働かない・・・・」「新規の受注が取れない・・・・」「会社の将来が見えなくなった・・・・」「頑張っているのだが成果が出ない・・・・」
 経営不振から脱却したいという想いから「今まで以上に必死になって・・・・」と従来のやり方を変えようとせず、がむしゃらに頑張ったとしても、一時的には成果が出るものの恒久的な業績回復を果たし経営不振から脱却することは稀な例であります。
 かつては5〜10年毎に社会環境が変わることに伴ってビジネス環境が変わっても、緩やかなりにも経営も対応することができていました。しかし、最近では変化のインターバルが急激に縮まり、1〜2年毎、或いは2〜3年毎にビジネス環境が変化しています。
 国内外の経済や社会環境の変化に沿って変わってきたビジネス環境に気付いたとき、遅れをとるまいと新しい事業を取りいれようと体制を整え努力しても、「時すでに遅し」と状況は深刻で『ガラパゴス経営者』になっている結果になることに気付かなければなりません。

2.事業における『勝ち方のルール』が変わった

 社会が急激に変わりました。それなのに、社長も社員も今までと変わらない…、従来から繰り返されてきた「最も慣れた方法」変えることなく、改革改善ができないまま慣れた方法を踏襲して取り組んでも、頑張った分だけ業績が上がることはありません。
  「今までがそうやっていたから・・・・」「他社もそうやっているから・・・・」という理由や
  「そんなやり方はやったことないから・・・・」等と、
 経営者が自分の考えを頑なに変えようとしなかったり、変える意識を持たなければ、間違いなく、新しい時代に取り残されてしまいます。
 社会が変わると言うことは、お客の要求も変わることなのです。『勝ち方のルール』も変わっているということに気づかなければなりません。
 業績が上がらなくなった時に、営業努力が足りないと考え社員教育や増員をしたところで無駄なことなのです。
 経営者は、
 ・時代が変わったことをしっかりリサーチできる複数の情報源を持っていること。
 ・基盤となる事業を改革をしながら堅実に継続する。
 ・外部からの力を借りて、変化の兆しを読む能力を実践から学び、悪習を変える勇気を持つこと。
 ・他社に迎合したり、いたずらに価格競争に参入せず、独自の商品を開発すること。
 ・他社に追随する考え方を払拭する。
 ・常に5年先の変化を見越して計画を立てる。

3.新「勝ち方のルール」に対峙する“負けの審判”の厳しさ

 新『勝ち方のルール』とは、自らの力で『時代を生み出す』能力を保有する企業であり、他社の追随を許さないスピードとパワーを持っているということだ。

 当然ながら旧態然とした時代に取り残された『ガラパゴス経営者』の率いる企業は、時代に取り残されまいと慌てて追随しようとする。
 『勝ち方のルール』に嵌まる企業とは、人材育成に多大な投資をしていることは知る由もなく、そればかりか、そこで働く従業員のメンタルヘルスに対しても余裕をもって取り組んでいる。
 更には『コンプライアンス』についての法務体制や組織体制には、専門家を採用して自浄的組織の確立を図っており、外部からの圧力にも揺るがない、従業員が働きやすい職場環境が整えられています。

 一方の『ガラパゴス経営者』の率いる企業では、事業展開にスピード感が見られない場合が多いことは残念ながら否めません。一歩も、二歩も遅れをとっていることから、競合する相手を真似たい追いつきたいと思う一心から無謀な計画で無理が生じたりもする。
 また、いい人材を採用したい想いからマイナス点を隠した採用広告の弊害として、採用試験や入社後に諸条件に食い違いが生じたり、社会問題となっている『ブラック企業』として不名誉な烙印を押され、自力で立ち上がることが不可能な“倒産の危機”の風評など、厳しい『負けの審判』が下される。

4.“時流”に乗らずに“時中を待って真剣に行動する

 時の専門書『易経』の中に書かれている経営者が絶対に知らなければならない言葉があります。
 それは『君子の中庸たるや、君子よく時中す』と『時流に乗る者は時流によって滅ぶ』です。

 経営は大自然に学べ。
 易経では、大自然には四季(春夏秋冬)があり、二十四節季(立春、春分…)、七十二候(東風解凍、黄色など)
などがありますが、大自然の変化に合わせて行動することが望ましいというのです。
 つまり、朝になったら起きて、昼はまじめに働き、夜はゆっくり休む…と、自然に逆らわないこと。冬に種を巻いても芽を出しません。種を蒔くべき季節に蒔くと、やがて暖かくなり芽が出て花が咲き実が成ります。
 隣の庭が満開で美しく咲いているのは、遡ること数ヶ月前の然るべき時期に種を蒔いたものが美しく開花し、満開になっているわけで、自分も慌てて種を蒔き開花を期待しても絶対に同じように咲きません。

 易経では、経営者は「時中」について知っておくべきだと言うのです。
 新たに事業を実行しようとするとき、着手する時期が事業目的に合致した『適正期』でなければ失敗を招くことになると言います。
 普段は問題なく淡々と仕事を進めていても、『いまだ!(時中)』と実行するのに適正な時期(時中)を決めるには、その時までの時間や空間、環境や周囲の状況により瞬時に判断しなければなりませんから、競合相手や新規参入組が創り上げた活況なビジネス(時流)を追いかけても、時はすでに遅いのです。

 事業経営において『時中』に備えて、社会的使命のもとに、経営理念、経営戦略を整えておくことが何よりも重要であることを、改めてご提案いたします。

「支援チーム」を、疲弊企業の「救急救命隊」と位置づけて、
積極的にご利用いただければ幸いです。




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2015年12月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO68

  東京都と地域の金融機関とが連携して実施する融資制度
◆東京都新保証付融資制度
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2015.12.01


 東京都新保証付融資制度は、運転資金の確保などにより事業継続に苦しむ中小企業を支援する目的で、平成21年度に制定されました。しかし、取扱金融機関が限られていることから広く知れ渡っていません。
 制度の目的と制度の内容は下記の通りですが、保証機関の保証だけで借りることができ、中小企業にとって使い勝手は良いものと思われます。会計事務所におかれましては、資金繰りが厳しい顧問先などにご紹介されてはいかがでしょうか。なお、制度内容や適用金利については、随時変更されますので、関係先にお問い合わせください。

1.制度の目的

 高い技術力や優れたビジネスプラン等を有しているにもかかわらず、当面の事業継続に必要な運転資金等の確保に困窮する中小企業者に対し、東京都と地域の金融機関が連携することにより、資金繰りを支援する。


2.制度の内容
 【利用対象】
  ○都内に事業所(住居)があり、保証対象となる業種を営んでいる中小企業者(農林・漁業、遊興娯楽業のうち風俗関連営業、宗教法人等は対象外)
  ○原則として租税の未申告、滞納がないこと
  ○許認可等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けていること
  ○取扱金融機関と一定期間の融資取引があり、債務の履行遅滞がないこと
  ○その他規定する要件を満たすこと

 【融資条件】
  【オリックス兜ロ証付融資】
  ・資金使途:事業性資金
  ・融資限度額:100万円以上1,000万円以内
  ・融資期間:5年以内(一部7年以内も可)
  ・融資利率:年2.4%以内(3年以内)〜年2.6%以内(5年超7年以内)
        年2.8%以内(5年超7年以内)、
        ただし、経営力強化保証制度に関する融資残高がある場合には異なる
  ・信用保証料:保証機関の定めるところによる
  ・連帯保証人:原則として、法人の場合は代表者全員、個人事業者は不要
  ・物的担保:原則として不要

  【全国しんくみ保証兜ロ証付融資】
  ・資金使途:運転資金・設備資金
  ・融資限度額:50万円以上500万円以内
  ・融資期間:5年以内
  ・融資利率:年2.4%以内(3年以内)、年2.6%以内(3年超5年以内)
        ただし、経営力強化保証制度に関する融資残高がある場合には異なる
  ・連帯保証人:原則として、法人の場合は代表者全員、個人事業者は不要
  ・物的担保:原則として不要

 ○さらに詳しくは、下記ホームページにアクセスして確認してください。

【問い合わせ先】
 ○制度に関する問い合わせ先:東京都産業労働局金融部金融課
 ○電話 03−5320−4877 受付時間月〜金9:00〜17:00

【取扱金融機関】
 (地方銀行)東日本銀行
 (信用金庫)さわやか信用金庫、東栄信用金庫、小松川信用金庫、西武信用金庫、
       昭和信用金庫、城北信用金庫、青梅信用金庫、東京信用金庫、
       興産信用金庫、城南信用金庫、亀有信用金庫
 (信用組合)あすか信用組合、全東栄信用組合、文化産業信用組合、東京厚生信用組合、
       東信用組合、江東信用組合、青和信用組合、中ノ郷信用組合、
       共立信用組合、七島信用組合、大東京信用組合、第一勧業信用組合、
       北部信用組合

【スキーム図】
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【PDF】で印刷できます。



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2015年11月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO67

▲新規事業の立ち上げと事業譲渡
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2015.11.01


1.新規事業の立ち上げ

 近年、弱電系を中心に、新規事業の立ち上げに伴う、知的財産の相談が増えてきている。ご存知のように、家電業界やエレクトロニクス業界の不況の煽りで、“生き残りをかけた”本業以外への進出が進んでいる。
 当然、新規事業となると本業とは異なる事業領域であるため、十分な情報がなく、事業戦略があいまいなまま進んでしまうケースが多い。

2.新規事業の知財サポート

 このような企業に対して、知的財産のサポートを行う場合には、知的財産情報から簡単に判ることを積み上げて整理することが多い。
 すなわち、新規事業分野で特許調査を行うことで、(1)誰が権利者(プレーヤー)で、(2)どのような権利を保有しているか、(3)さらに最近の出願件数は、などは、簡単に判る。
 このような特許調査の結果(特許から判る開発状況)と、企業側が集めた既存製品の情報(市場における実製品の情報)とを照らし合わせていくことで、ターゲットとすべき市場や開発すべき対象が絞られてくる。
 また、このようなプロセスを踏むことで、予め抵触する特許を回避することや、既存技術の重複開発を回避することができ、自社の開発した成果の権利化も期待できる。これは知財リスク・開発リスクの大いなるヘッジである。

3.事業譲渡

 新規事業の立ち上げが順調にいっても、立ち上げた新規事業を譲渡するケースも近年散見される。
 余談になるが、新規事業の立ち上げがうまくいかなかったり、うまくいってもその事業自体を譲渡せざるを得ないのは、もともと本業が不振になった後に、新規事業の立ち上げを開始していることの影響が大きいように感じられる。すなわち、本業との関係で、資金的・人材的・時間的に新規事業の立ち上げに専念できず、いずれにしても新規事業が長続きしないようである。
 その意味では、知財を使って資金面も含めた事業安定性が確保できることが望ましいが現状では、そこまでは難しいようである。
 一方で、立ち上げた新規事業を手放す場合、事業自体の評価(収益性)が主となるが、知財回りをしっかりしておこくことで事業譲渡の成功につながったケースに、ここ数カ月で2件ほど関わることになった。

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4.サポイン事業に関する事業譲渡〜具体的事例1〜

(1)事業譲渡の背景
 経済産業省系の補助金事業である、サポイン(戦略的基盤技術高度化支援)事業で、電子部品の開発を行った成果および事業体制を含めた事業譲渡について紹介する。
 開発の成果は、国内外の特許権、意匠権および商標権と、生産技術に関するノウハウである。また、事業体制については、@企画・設計を行うPL企業 A材料供給・一次加工企業、B二次加工企業、C特性評価企業+外部支援(管理事業体・公設試験場大学・特許事務所)であり、外部支援の部分を除くコンソーシアム部分を事業譲渡の対象としている。
 サポイン事業で、電子部品の開発を行い、開発目的の特性を有する製品自体は完成したが、具体的受注が得られなかった。すわなち、展示会出品等を通して引き合いは来るが、受注に繋がらない、プロダクトアウト型の典型例である。

(2)なぜ事業譲渡できたか?
 なぜ、このような事業でも事業譲渡できたかは、次の(i)〜(D)の要因が“特に知財的な観点で”大きいと言える。
 (@)開発段階でのクリアンス調査
  ⇒開発段階で、その物の製造・販売が他人の権利侵害となるかと調査する実施可否調査を行い、権利侵   害が無いことを確認していた。正確には、権利侵害の可能性があり、設計変更を行い、変更後の製品   について非侵害の鑑定書を準備していた。
 (A)ポートフォリオ形成
  ⇒設計変更を行った製品について、その設計変更事項自体を特徴とする特許出願・意匠出願を網羅的に   行い権利化していた。また、特許権・意匠権と組み合うノウハウを明確にしていた。
 (B)PL企業集中の権利化
  ⇒開発成果について、プロジェクトリーダーである(PL)企業に意図的に集中させていた。
 (C)生産体制としてのアライアンス
  ⇒生産体制のアライアンスが利益配分も含めた契約書上も担保されており、アライアンス自体の譲渡が   できる形となっていた。
 (D)知財評価 
  ⇒数十万でできる簡易的な価格算定を利用し、参考価格を取得することで譲渡対価のベースを形成する
   ことができた。

(3)最後に
 上記(i)〜(D)は、我々知財の専門家を介した、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成であり、これを安定的に維持するためのツールに等しい。すなわち、事業譲渡できる形態を意識するのではなく、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成を意識することで、結果として事業譲渡ができたに過ぎない。

5.六次化事業の事業譲渡〜具体的事例2〜

(1)事業譲渡の背景
 電子部品の組み立て会社が六次化事業を立ち上げ、FC(フランチャイズ)企業も含めて、この六次化事業を事業譲渡した事例について紹介する。
 この六次化事業は、機能性食品の量産化として注目され、出口側である販路についても確保され、価格維持が可能な安定したモデルとなった。そして、その安定した収益性ゆえに、上場企業を含めた5〜6社のFCによる生産体制が構築された。
 六次化事業に成功した電子部品の組み立て会社は、@ノウハウを含む技術指導利益、AFC先への機器供給・消耗品供給による利益、B生産物の全数買い上げによる卸利益を生み出す収益モデルを形成することができた。
 一方で、電子部品の不振で赤字が雪だるま式に増え、要注意先として金融機関のニューマネーが入らない状況が生じ、事業資金が不足する事態となった。
 さらに、六次化事業は、社会的には注目されるものの、新規事業の立ち上げ段階で利益は小さく、これまでの開発費を回収するには到底及ばないものであった。
 すなわち、本業が不調となってからの新規事業の立ち上げの典型であるが、運転資金が続かず、せっかく立ち上げた新規事業も含めて、会社自体の経営が非常に不安定な状況となっていった。

(2)なぜ事業譲渡できたか?
 なぜ、このような事業でも事業譲渡できたかは、次の(i)〜(D)の要因が“特に知財的な観点で”大きいと言える。
 (@)FCを含む生産体制としてのアライアンス
   形式的は、不振の電子部品と切り離して事業譲渡が可能なパッケージとなっていたこと、さらにFC  を含めて収益性が数字として読める状態となっていたことが表面的な要因と見えるが、これらを担保す  るように、FC契約書など各種契約書が、契約上互いに権利義務が明確化されていた。
 (A)ノウハウ管理
   実は、上場企業がFC傘下に入ったのは、このノウハウおよびノウハウ管理にあったと言っても過言  ではない。単なる業務提携ではなく、上場企業といえども技術指導がないと生産および生産管理ができ  ないためである。
   そして、このノウハウがマニュアル化され、何がノウハウ(財産)が明確な形で管理されていたこと  が、次の知財評価(事業譲渡対価の評価)でも評価された。
 (B)事業性評価
   ノウハウを含む本格的な事業性評価として、予め参考価格を取得することで譲渡対価のベースを形成  することができた。
   その中では、@市場性、A特許・商標(ブランド)、Bノウハウ、CFCを含む事業性、Cこれらか  ら想定される収益性が本格的に事業性評価がされた。
 (C)権利の集中
   開発段階では、協力会社が外部コンサルも関わってもいたが、意図的に権利を自社に集中させていた。

(3)最後に
 上記(i)〜(C)は、前述の第1事例同様、我々知財の専門家を介した、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成であり、これを安定的に維持するためのツールに等しい。すなわち、事業譲渡できる形態を意識するのではなく、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成を意識することで、結果として事業譲渡ができたに過ぎない。
 それと同時に、知財回りをしっかりしておこくことで、少なくとも、途中で事業が売却できるところまでは行けることも判る。






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2015年10月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO66

★特定空家等に係る敷地の固定資産税等の特例措置の創設
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 2015.10.01


1.はじめに

 平成26年11月に市街地の空洞化を招く、家屋、工場、店舗などの適切な管理が行われていない空家(以下「空家等」といいます。)の解消を進める目的で「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)、以下単に“空家法”といいます。」が成立しました。
 平成27年2月にその一部が施行され、所有者特定のため市区町村が固定資産税の納税者情報が利用可能とされました。また、平成27年5月26日の全面施行後は、立ち入り調査及び解体勧告などの権限が与えられました。所有者がこれら勧告等に従わなかったり、不明であった場合には行政サイドが解体できる強制執行を行うことが可能とされました。

 そこで、本稿では、空家法の概要を解説するとともに、空家対策としての固定資産税額等の特例措置について解説することとします。

2 空家法

(1)概要
 空家法の主な内容は、次のとおりとされます。  
@ 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空家等を「特定空家 等」と定義しました。
A 市町村長が特定空家等の所有者等に対し、必要な措置をとるよう助言・指導、勧告、命令等 を行うことが可能とされました。
B 「市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資する ため、空家として解体を勧告すれば平成28年以降、土地の固定資産税を減額する優遇措置の対 象外とする措置を講ずる」旨が記載されました。

(2)特定空家等の判断目安
 上記(1)@における特定空家等とは、現況にある空家等で周辺に危険や迷惑を及ぼし、市街地の空洞化を招く、空家等とされています。
 なお、具体的な特定空家等の判断目安は、次のとおりとされています。
@ 建物の傾き具合が高さに比して20分の1(例えば高さ3mなら屋根のずれが横に15p)を超 えるもの
A 土台のシロアリ被害が著しいもの
B ゴミの放置や投棄で 多数のネズミやハエが発生し、近隣住民の日常生活に支障があるもの
C 立木が建物を覆うなど茂っていたり、道路にはみ出した枝が通行を妨げるもの
D 多くの窓ガラスが割れているもの 
E トタン屋根・看板などが落ちそう又はベランダが傾いているなどが見てわかるもの

3.空家対策としての固定資産税額等の特例措置

(1) 内容
 上記1(1)の空家法の規定に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置(本則課税標準額)の対象から除外される特例措置が創設されました(新地法349の3の2)。

区分

住宅用地に係る本則課税標準

改正前
改正後
小規模住宅用地

(200u以上の部分)
固定資産税1/6に減額
減額措置なし


都市計画税
1/3に減額
一般住宅用地
(200u超の部分)(注)
固定資産税1/3に減額
都市計画税2/3に減額
(注意)家屋の床面積の10倍まで


(2) 適用関係
 特定空家等として解体などが勧告されると平成28年以降、土地の固定資産税が減額される優遇措置の対象外とされるなど、空家法の全面施行により危険な空家の解消を目指して執行されます。

4.おわりに

 人口減及び超高齢化の進行により、全国の建物のうち、5戸に1戸は空家と言われています(平成25年度総務省資料)。
 平成28年以降、固定資産税等の特例措置の対象外とされると空家の所有コストが約6倍に増加することとなります。相続後の相続人間で共有状態となっている土地の売却及び危険な空家を改修して地域の交流スペースとして賃貸する等の有効利用を早期に検討すべきでしょう。
                                       以上




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