2010年12月20日

月刊・企業再生サポート情報 bO09

▲M&Aに絡む“法人登記”と“不動産登記”の問題点
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2010.12.20

司法書士・行政書士  星 野 文 仁



 今回は、M&Aに絡む法人登記と不動産登記について注意点をご紹介したい。


1.商号続用による免責の登記とは……


 会社分割に絡む法人登記で、最近、承継会社側からオーダーが多いのが、商号続用による免責の登記である。


 商号続用による免責の登記とは、あまり耳慣れない言葉だと思うが、この根拠条文は、会社法にある。

 会社法第22条第1項では、会社がある会社から事業譲渡を受けた場合に、その事業の譲渡会社が使用していた商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する旨を規定している。


 いわば、譲受会社が、譲渡会社の債務についてあたかも連帯保証をするようなものである。これは、事業譲渡によって経営主体が変わった場合でも、通常、譲渡会社の債権者はそのことを知らず、商号が変わらなければ事業主体が変わらないと思うからであり、会社の債権者保護のための規定である。具体例を挙げると、A社からある事業を譲受たB社が、事業譲渡後にA社に商号変更する場合には、この新A社は、旧A社の債務を引き受けなければならないことになる。グループ内再編等で第二会社方式を用いる場合には、このようなケースはいくらでも発生しうる。


 一方、同条第2項で、事業を譲り受けた後、遅滞なく譲受会社がその本店所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、その責任を負う必要がない旨を定めている。これが、商号続用の免責の登記である。


 実は、この商号続用の免責の規定は、会社法の事業譲渡のところに規定されているだけで、会社分割では、そのような規定がなく、これを認めるかどうか争いがあった。旧商法時代に、商事法務なる雑誌にこの免責の登記は、会社分割の場合でも可能である旨の論文が掲載され、私の事務所で一度、吸収分割を行った会社で、この登記を入れたことがある。


 その後、H18年5月に会社法が施行され、この登記ができるかどうかが争いになったが、結局、H20年5月に最高裁判所において、会社分割による場合でも、会社法第22条第2項を類推適用して商号続用の免責の登記をすることができるとの判決が出されたため、今では、この登記をすることも珍しくなくなった。

 クライアント保護のためにも、広く活用すべきである。




2.分割会社が根抵当権の債務者となっている場合の問題点


 会社分割と不動産登記で、見落とされがちなのが、分割会社が根抵当権の債務者となっているケースである。分割会社が、根抵当権の債務者となっている場合には、民法第398条の10第2項の規定により、債務者を分割会社と承継会社の2社にする変更の登記をしなければならない。   


 このことは、分割計画書や分割契約書に、分割会社の債務を新設会社または承継会社に移転しない旨の定めがあったとしても当然のこととされているので充分注意が必要である。


 また、会社分割後に債務者の変更による根抵当権の変更登記をみだりに行うと会社分割前に担保されていた債務が、根抵当権によって一切担保されなくなることもあるので、司法書士等の専門家に相談するのがよいだろう。


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2010年06月24日

月刊【企業再生サポート情報】bO03

▲「M&A」を行うにあたっての基本的な注意点

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2010.06.24

司法書士  星 野 文 仁



 司法書士・行政書士として様々な組織再編や企業再生(以下、M&Aという)を、お手伝いしてきた経験から、M&Aを行うにあたっての特に注意すべき点を、挙げたいと思う。


1.M&Aのスケジュール管理


 M&Aで、もっとも重要なことは、スケジュール管理である。

 ・いつまでにこのM&Aを終了させなければならないのか?

 ・それは、なぜなのか?
 

 一般的に、企業再生のM&Aを、行う場合には、事業年度の最終日の翌日を、分割期日や合併期日とすることが多い。これには、債権者の都合や許認可の関係等いろいろな要素が絡み合っていることが多い。

 したがって、われわれは、まず、お手伝いを開始する前提として、最終期日を確認する。そして、なぜ、その日が最終期日となったのかまで確認する。

 その上で、場合によっては最終期日の変更をお願いしたり、変更ができない場合には、その期日までに間に合うように法的な手続や許認可関係、債権者間の調整をいつまでに終わらせなければならないのかといったスケジュールを逆算して立てていく。

 ここで少しでもミスがあると、M&Aの諸手続が、最終期日までに終わらず、M&Aが失敗してしまうことがあるから大変重要な作業である。

 逆に、このスケジュール管理がきちっとできていれば、M&Aの手続は成功する確率が非常に高くなる。


2.許認可の有無


 次に注意しなければならないのは、その企業が持っている許認可の有無である。

 A社が建設業と不動産売買業を行っているとしよう。建設業は許認可事業の代表例である。A社の建設技術には、定評があり建設業だけを捉えてみると、まだまだ再生できる可能性があるとしよう。

 一方、不動産売買業は、膨大な含み損を抱えてメインバンクから、早急な処分を求められているとしよう。このような場合には、通常、A社を建設業と不動産売買業に分割し、建設業のみ継続させて、不動産売買業は、不動産の売却をして、負債をある程度返済した後に破産や特別清算をして処理することが考えられる。

 一般的には、M&Aに伴って不動産を移転する場合には、登録免許税等(合併であれば不動産固定資産評価額の1000分の4、会社分割であれば1000分の8。また、場合によっては不動産取得税が課せられる場合もある)の移転コストがかかるため、できるだけ不動産を移転させないほうがよい。

 しかし、許認可事業は、一般的にM&Aによって引き継がれないケースが多いために、多少、金銭的なコストが増加したとしても、あえて許認可事業を元の会社に残し、コストのかかる不動産売買業を外に出すといった方法も考慮せざるを得ない場合も往々にしてある。



3.金銭コスト管理


 いうまでもなく、結果がまったく同じであるなら、できるだけ金銭コストのかからない、M&Aスキームを提案すべきであろう。

 M&Aは、一般的にその規模が大きくなればなるほど、不動産の筆数が多くなり、不動産移転のコストが大きくなる。

 しかし、案外この不動産移転コストを、計算に入れずにM&Aスキームを立てているケースが非常に多い。登録免許税は、租税特別措置法により修正が加えられているため、めまぐるしく変化しているからだ。

 できれば、登録免許税の専門家である、司法書士に不動産移転コストの見積もりを出してもらってから、スキームの検討をすべきであろう

 また、M&Aの不動産には、根抵当権や抵当権といった担保権がついていることが多いので、移転コストだけでなく、これらの担保権の変更登記についてもそのコストについて事前確認をとっておくべきである。

 また、担保権の変更は、とても複雑になることがあるから、金融機関も含めて事前に充分な打ち合わせをしておくべきである。


【PDF】にて印刷できます。




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posted by 支援チーム at 09:26| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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