2018年02月01日

月刊・企業経営サポート情報 bO87

◆保育園の再生M&A
企業経営サポート情報-087原内.jpg

▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。

2018.02.01

司法書士法人H&Wトラスト 代表社員  原 内  直 哉

 現在,私は司法書士業,不動産管理業,サービサーの他に保育園の運営を行っている。特に既存保育園の再生M&Aに力を入れており,毎月数件の保育園の買収を検討している。
 保育園買収で問題となるのは,@負債,A保育士の離職,B園児の減少,C買収時期などが問題となる。売却に出される保育園の大半が@からCのうち2つ以上を問題としている。

1.負債
 @の問題は,認可外保育園であれば金融機関と合意さえ取れれば事業譲渡すれば事足りるケースが多いが,認証保育園や認可保育園(小規模含む)の場合許認可が問題となる。株式譲渡は良いがその他の方法は認めない自治体もあるため慎重にM&Aを進めなければならない。また,金融機関も保育園は園単位で考えれば小さな事業のため,法人の組織が再編されることに積極的な承諾はしない。

2.保育士の離職
 Aの問題は,売却される保育園へ勤める大半の保育士は,現経営者に対し不信感や不満を持っており,退職意思をすでに伝えているケースが多く,M&Aの話が来た時点では次の勤務先も決まっており,慰留しても奏功しないケースが多い。認証保育園や認可保育園(小規模含む)の場合,常駐(在籍)させなければならない保育士の数が決まっており,その員数に満たない場合最悪は許認可を取り消されることもある。新たに保育士を雇用するにしても,時間を要し,多額の費用(広告費や紹介手数料など)をも要するため買収金額が合わないことが多く運営自体困難になる場合もある。

3.園児の減少
 Bの問題は,認可外保育園の場合,現経営者の園運営に対する情熱が薄れ,園児募集に対する積極的施策を取っておらず,園児がどんどん減少している場合が多い。認可外保育園の場合,1月下旬から3月初旬まででその後1年間の園児数がほぼ決まり,この期間で保育園運営の利益が出る程度の園児が獲得できなかった場合は1年間経営に苦しむことになる。そうなれば負のスパイラルの一途を辿り,積極的(適切)な投資もできなくなり保育園がただの託児所化してしまう。認可保育園などの場合は,園独自で園児募集活動をせず,自治体からの園児割り当てで園児数が決まるため,定員よりもかなり少ない園児数だと利益が出ない。自助努力をしなくても良いわけだが,それが悪い方向へ出る場合もある。

4.買収時期
 Cの問題は,上記Bの問題と同様であるが,春から夏にかけて買収した場合で赤字が続いている保育園は翌年の4月まで確実に赤字が続くので,仮に赤字でも将来性のある認可外保育園であった場合は12月以降で1月末までの買収をしなければならない。この時期より早くても赤字が多くなるし,遅くなると翌年の園児募集の施策が打てなくなる。短い時間で買収しなければならないので予め決めた項目のチェックが終われば即決断しなくてはならない。

 通常,保育園の運営は,投資額や方法,様々な施策時期,雇用管理など間違わない限り経営が窮地に陥ることはない。しかし,案外多くの保育園が間違いを起こしている。待機児童問題がたくさん報道されており,放っておいても園児が集まるがごとく認識されているとは思いますが,それほど保育園経営は甘くはない。自助努力をしない保育園は必ず廃れてい行く。
 私は多くの経営難・運営難に陥った保育園を見てきたから保育園の実態がわかるのである。
 顧問先等に保育園があり,@売却を検討している,A経営サポートを受けたい,B再生したいなどの要望があればお気軽にお声掛けいただきたい。
以上








◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
posted by 支援チーム at 00:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

月刊・企業経営サポート情報 bO86

◆家族信託を上手に活用しよう
企業経営サポート情報-086p1.jpg
企業経営サポート情報-086p2.jpg

▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。

2017.12.01

司法書士・行政書士  星 野 文 仁


 今、家族信託(いわゆる「民事信託」のことです。以下、「家族信託」といいます)が各方面から熱い視線を浴びています。信託法が改正され新信託法が施行されたのは、2007年9月なのでもう10年も経過しますが、改正前の硬直化した信託法に比べ、新信託法は非常に自由度の高い設計をすることができるようになりました。
 たとえば、新信託法は家族信託を使うことによって成年後見制度や任意後見制度の補完機能として活用したり、世代間を超えた資産承継をするために遺言の代用として活用したりすることができます。これらのほかにも家族信託を使っていままでできなかったいろいろなことができるようになり、近年、家族信託が俄かに注目されるようになって来たのです。
 そこで、この原稿では遺言では実現できなかった世代間を超えた資産承継の家族信託(遺言代用信託兼受益者連続型信託)について、紹介したいと思います。

1.家族信託の具体的活用例

 夫の実家がもともと地主で先祖代々からの不動産を多数所有し、多くの収益不動産を所有しているような場合で、子供がいない夫婦の場合など、家族信託を有効に活用することによって世代間を超えた資産承継をすることができるようになりました。
 具体的な説明をさせて頂きます。事例としては、高齢者の夫と病弱な妻の二人暮らしで子供はなく、夫は代々の地主の長男で収益物件を多数所有しているとします。
 夫としては、自分の死後の遺産は全て病弱な妻のために残してやりたいが、先祖代々の土地はできれば血の繋がった自分の弟の長男である甥に継がせたいという状況です。今まで、不動産の管理は全て近くの不動産屋に任せていたのですが、賃貸者契約の当事者となって賃貸借契約書にハンコを押すのも面倒になってきました。そこで、信頼のできる弟の長男である甥にそういった面倒なことも一切任せたいと思っていました。
 そこで、委託者を夫、受託者を甥、そして、当初の受益者を夫として家族信託契約を締結することにしました。この家族信託契約によって、所有権は一見、受託者である甥に移転しますが、この所有権移転は、便宜上、外形的なもので真の所有者が委託者である夫であることに変わりはありません。
 しかし、信託契約が他の制度、たとえば成年後見制度と比べ優れている点は、受託者の権限が非常に広く、信託契約の内容を細かく定めることができ、その内容によっては当該不動産の管理、維持(修繕や大規模修繕)、賃貸借契約の締結や解除はもちろんのこと、その処分、つまり売却さえも行うことができる点にあります。
 しかも、これらの行為は委任者の同意なくして行うことができる(もちろん、信託契約の内容により、処分等を禁止することもできます)ので、委託者が高齢者であっても、当該信託契約締結時に意思能力がはっきりしていれば、たとえその後、委託者が認知症になってしまい意思無能力者となってしまったとしても、信託契約が有効に存続している間は、裁判所やその他の親族等の同意なくして、受託者の判断で当該不動産を第三者に売却することが可能となります。
 これは、どういうことかと申し上げますと、信託とは、委任者の財産を維持管理及び増加をすることが目的ですから、受任者が委任者にとって最も有利だと判断すれば不動産を現金に換えて、不動産以外の物に投資することもできるし、場合によっては他の不動産に買い替えることもできるという意味です。さきほど、成年後見制度や任意後見制度の補完機能として活用できると申し上げたのはこのためです。
 そして、予め信託契約によって夫亡きあとの受益者を、夫の配偶者である妻にしておけば、夫は安心して収益物件を信託契約によって委託者に託すことができます。
 もちろん、収益物件の管理、維持、賃貸借契約の締結や解除といった面倒なことは全て受託者である甥が当事者としてくれるのです。そして、妻は収益物件から生じる賃料を受益者として受け取ることができます。万一、受益者である妻が認知症となって成年被後見人となってしまっても変わることはありません。

2.家族信託だからこそできる世代間を越えた資産承継

 しかし、ここまでのことは、財産管理契約、遺言及び成年後見制度を組み合わせることでもある程度、同じようなことができるかもかもしれません。
 しかし、家族信託のその他の点で他の制度と比べて優れているのは、遺言では実現できなかった世代間を超えた資産承継(遺言代用信託兼受益者連続型信託)ができるようになったということです。
 この点を、詳しく説明します。子供がいない夫婦の場合には、原則として遺言を残すべきです。そうでないと夫の兄弟姉妹にも相続権が発生して、あとあと問題になる可能性があります。これはこれで間違ってはいません。
 しかし、この場合には、夫に相続が発生すると全遺産が妻のものになってしまいます。通常の夫婦であれば夫の全遺産が妻のものになることに、異存のある方はあまりいないでしょう。しかし、妻もいずれは、死にます。このときの妻の相続人は、だれになるのでしょうか?そうです。全て、妻の兄弟姉妹または妻の甥もしくは姪が相続人となります。つまり一旦妻のものになってしまった夫の全遺産は、夫とは血縁関係のない妻の血縁関係者のものになってしまうのです。

3.遺言か家族信託か?遺す想いにあわせた備えの大切さ

 家族信託がない時代には、これはどうしようもないことでした。だから、もしかすると子供がいない夫婦の場合であっても、遺言書をあまり残さなかったのかもしれません。
 しかし、本例のように先祖代々の土地を相続した場合には、やはり感情として自分の血縁関係者、たとえば甥や姪に土地を残したいと思うのが、通常の感情ではないでしょうか?
 家族信託の出現により、この悩みが解消されました。つまり、妻が死亡し後の受益者を、自分の甥や姪に指定することが可能となったのです。したがって、妻が生きている間は、妻に自分の全財産(受益権)を相続させ妻の死後は夫の遺産を自分の血縁者に戻す、つまり世代間を超えた資産承継をすることが可能となったのです。




【PDF】で印刷できます。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
posted by 支援チーム at 00:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO78

★株主と経営者の高齢化問題
078-30%.jpg

▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。

2016.11.01


.株主の認知症と成年後見人議決権行使の問題

 現在進行形の実話である。M&Aの対象会社(以下、「対象会社」という。)の大株主が認知症となってしまっている事例がある。現在、この大株主の成年後見手続きを行っているが、非常に悩ましい問題があるので、レポートさせて頂きたい。

 まず、認知症となってしまった被成年後見人の議決権を、成年後見人が行使できるかという大問題がある。明確な条文や判例は今のところないが、家庭裁判所や法律家の一部の見解では、「成年後見人は、被成年後見人の議決権を行使することができない。」ということである。

 なぜなら、「議決権の行使」は、財産権の行使とは言えないためである(もっとも、成年後見人は、法定代理人なので、議決権を行使できるとの説もある)。
 この問題が、なぜ大問題かと言うと、今回の対象会社は、たまたま株式の譲渡につき制限を設けていない公開会社であったため、成年後見の審判が確定し、対象会社の株式の譲渡について家庭裁判所の許可が得られれば、第三者に対し株式譲渡することが可能となる。

 しかし、この会社が普通の中小企業のように株式の譲渡制限のある非公開会社であって、しかも、株式譲渡制限の承認機関が「株主総会」であったならば、話は少しややこしくなる。なぜなら、たとえ株式の譲渡につき家庭裁判所の許可が得られたとしても、対象会社の株式譲渡の承認が不可能となる可能性があるからである。

 もし、この大株主が対象会社の株式を100%有しているならば、株式譲渡の承認を得ることはできないかもしれない。成年後見人には、議決権を行使できる根拠がないからである(もっとも、もしこのような事例の場合には、議決権の行使が財産権の行使の一環と捉えられる余地がありそうな気がするが・・・)。

2.経営者の認知症

 こちらもつい最近の実話である。ある高齢者が不動産を売却しようとして、本人確認及び意思確認を行った。不動産仲介及び家族からは、「本人は耳が少し遠いが、意思表示は明確にできる。」とのことで、本人が現在入居している老人ホームに伺った。

 すると、本人は意思表示することはおろか、全く意思表示することが不可能であったため、成年後見制度を利用しないと不動産売買はできないとの説明を行い、成年後見制度を利用することになった。ここまでは、良くある話である。  

 しかし、この高齢者はある会社の代表取締役であり、この会社の代表者はこの人しかいないとのことであった。
このケースでは、成年後見の審判が確定するとこの高齢者は、取締役の欠格事由に該当し、取締役の地位を失い、結果として代表取締役の地位も失うことになる。たまたまこの会社は取締役会設置会社で、取締役が4名以上いたため後継者を、スムーズに選任することが可能な会社であった。しかし、もし、この会社が、取締役会非設置会社で、取締役が1名しかいなかったとしたら、後継取締役を選任することが難しくなる。場合によっては、裁判所に申し立てを行い仮取締役の選任の申立をしなければならなかったかもしれない。

 我が国は、高齢化社会が急速に進んでいる。高齢者の認知症に対して、今から早く手を打たないと、社会が上手く機能できなくなる恐れがあるかも知れない。



【PDF】で印刷できます。




★Kigyo-saisei★Corporate recovery team★Kigyo-saisei★
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO70

▲合併で注意したい消滅会社の事業目的
企業再生サポート情報-070p1.jpg
企業再生サポート情報-070p2.jpg
▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。

2016.2.1



1.複雑化した株式の持ち合いの解消法

 弊所が長年お付き合いさせていただいた企業の一つに、同族経営だが株主が多く、そのなかで敵対株主がいた例を、ご紹介したいと思う。

 この会社は、LPガスの卸と小売りをしており、関東一円で、各県ごとに販売会社を7社持っていた。しかもその株主が少しずつ異なっていた。敵対株主からは、少しずつ株式を買い集め、どうしても敵対株主から株式を買い取れない1社を除き、まずは、株式移転で、ホールディング会社をつくり、7社のうち6社を完全子会社とすることができた。

 しかし、この6社ともLPガスの販売をしており、経営効率が良くないため、子会社のA社にLPガス販売事業を会社分割によって集約し、もう1つの子会社B社にLPガスの卸を集約した。そして、6社はLPガスを販売するために持っていた社屋等不動産保有会社となった(いわいる抜け殻会社である)。

 その後、敵対株主とも和解が成立したため、C社も会社分割によって、LPガスの販売事業を会社分割によってA社に分割した。A社とB社以外は、前述したとおり、LPガスを販売するために持っていた社屋等不動産保有会社となった(いわいる抜け殻会社である)ので、これらの不動産をホールディング会社に集約するために6社合併を行うこととなった。

2.合併で注意したい消滅会社の事業目的

 組織再編の時の注意事項で、本稿において許認可について充分注意するように再三指摘させて頂いていたが、今回、またしても合併時に事業目的が問題となった。

 通常、合併や会社分割を行う場合には、存続会社及び承継会社が許認可を持っていれば、消滅会社や分割会社の事業目的が問題となることは今まではあまりなかった。

 しかし、電力販売が自由化されたため、消滅会社に「電気の小売り」等の事業目的が入っていた。電気事業法により、電気事業者が合併や会社分割を行う場合には、官庁の許可が合併や会社分割の効力要件とされている。ただし、この許可を受けなければならない事業者は、経済産業省に届出をしているいわゆる大事業者のみであり、通常の中小企業は、この届出を行っていない。つまり、一般的な中小企業であれば、官庁の許可は、合併や会社分割の効力要件とはならない。

 しかし、法務局の登記官は、実質的審査権がなく、書面審査権しかないため、消滅会社の事業目的に「電気の小売り」が残っている以上、当該会社が「電気の小売り」を合併時にも行っていると推定せざるを得ない。そこで、登記が一旦止まり、登記官から「経済産業省から当該消滅会社が現在は、電気事業を行っていない旨」の証明書を出してもらって欲しいとの連絡が来た。経済産業省に問い合わせてみたが、「電気事業の届出を行っている旨の証明」はできるが、「当該会社が電気事業者の届出を行っていない旨の証明」はできないとのことであった。

 この旨を、登記官に伝え存続会社の代表取締役から消滅会社が電気事業を行っていない旨の上申書を提出することで、合併登記を完了してもらった。弊所では、組織再編を350件以上行っているが、消滅会社の事業目的が問題となったケースはほとんどなかった。ただし、今後は、前述のとおり電力売買が自由化されるので、消滅会社の事業目的で「電気の小売り」等が入ったまま合併してしまうと登記が却下される恐れがある。弊所は、今後合併等をする場合には、合併期日の前日に、消滅会社の事業目的を「不動産業」等の1つだけに変更登記を入れたうえで、合併登記を申請するようになった。充分注意したい点である。





▲Kigyo-saisei▲Corporate recovery team▲Kigyo-saisei▲
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO62

★深刻化している中小企業の後継者問題を解決するM&A

062-30%.jpg

062-30%p2.jpg
▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。

2015.5.01



 今、中小企業で、後継者不足が深刻化しています。歴史も古く業績も悪くないのに跡継ぎがいない中小企業が増えています。
 一つには、少子化で、子供がいない経営者もいます。しかし、近年では、長男がいても家業を継いでくれないと云った経営者の声も、良く聞くようになりました。中小企業の経営者である両親を見て育った子供は、両親の苦労を良く知っており、安定している大手企業のサラリーマンになったり、医師、弁護士、公認会計士といった専門職に携わる人が増えているとも聞きます。
 中小企業庁も中小企業の後継者不足を深刻に受け止め経営承継円滑化法という法律を作り、自社株式の相続について相続税の納税猶予制度や民法の遺留分の特例を設けたりしていますが、期待されていたような成果は上がっていないようです。
 そんな中、今、最も注目を集めている手法がM&Aではないでしょうか。
 この項では、M&Aについてご紹介したいと思います。

1.M&Aとは何か?

 M&Aという言葉を聞いて、どのようなイメージをお持ちになるでしょう? 
 私も15年くらい前までは、M&Aとは、海外のハゲタカファンドが、資金繰りの困った日本の中小企業を、安く買い叩いて経営者や従業員を追い出し、乗っ取りをするというイメージがありました。 
 こういったイメージは、中小企業の経営者も少なからず持っているのが事実ではないでしょうか。 
 しかし、ここ数年のM&Aのイメージというか、実体は、全く違ってきました。 
 中小企業の後継者不足は深刻で、約20年前までは、中小企業の親族内事業承継が約80%以上もあったにも関わらず、近年では、親族内事業承継が40%にも満たない状況になって来ているということです。 
 この理由は、承継すべき事業が、縮小傾向にあり今後の発展が見込めないということもありますが、先ほども述べたとおりたとえ業績が良くても親の世代の苦労を間近に見てきた子供世代が、生活が安定している大手企業のサラリーマンをしていたり、他の専門職(医師、弁護士、公認会計士等)に就いていて、今さら親の事業を承継したくないといった現状が多いようです。 

 日本の全法人の99%以上を占める中小零細企業が、事業承継できずに廃業してしまうと、そこに雇用されている従業員たちが失業してしまいますので、先述したとおり、これに危機感を抱いた経済産業省や中小企業庁は、数年ほど前、事業承継円滑化法を施行して、親族内事業承継を増やそうと様々な、施策を講じていますが、あまり効果は上がっていません。 

 一方、M&Aによって企業を買収する側も、時代の移り変わりが非常に激しい現在では、従来のように長い年月をかけて、会社を一から設立し、人材を育て、経営ノウハウを取得するより、 既存の優良中小企業を買収し、そのブランド力、経営ノウハウ、従業員の技術や資質を一挙に獲得したほうが、圧倒的短期間に収益を生み出すことに気づき始めたのです。 
 従業員の側からしてみても、今まで、経営基盤が脆弱な中小企業から親会社が大手企業に移行することで生活が安定し、福利厚生もよりよくなります。 
 経営者とってみても、自分の会社が廃業することによって、今まで苦楽を共にして来た従業員を、露頭に迷わせなくてすむことになり、M&Aは、今や「乗っ取り」ではなくむしろ「ハッピーリタイア」となっているのです。 

 ある大手のM&Aの仲介会社によると、M&Aに関するセミナーを開催すると、自分の会社を売りたいと思っている中小企業の経営者が一度に千人以上集まるそうです。
 なぜ、M&Aが増えているかというと、一つには、人口の減少が考えられます。私が聞いたM&Aにこんな事例がありました。地方の優良な従業員500名程度の比較的大手の製造業が、東京の従業員10名程度の同業社を、M&Aしたそうです。

 なぜ、M&Aをしたのか担当者が、買い手のオーナーに尋ねたところ、「40年後にうちの会社がある県の人口が、半分以下になると予想されている。人口が半分になれば当然事業を継続することは困難になる。かといって、今から東京に支店を作って一から事業を起こそうとすると金も時間もかかりすぎる。M&Aとは、金で時間を買うことだ。」といったそうです。つまり、買い手にとっても今いる従業員の力を最大限に、発揮してもらって事業拡大に貢献してもらいたいと思ってるのです。

2.多様化するM&Aの手法

 M&Aと言えば、つい最近までは、株式の譲渡が中心で、わずかに事業譲渡がある程度でした。
 しかし、最近のM&Aでは、会社分割を使ったM&Aが急速に増加しています。株式譲渡や事業譲渡より会社分割を使った方が、よい理由ですが、数多くの点で会社分割が優れているからです。具体的には、次のとおりです。

(1)株主の特定が容易であること。これは、どういう意味かと申しますと、M&Aで買収される会社   は、比較的古い会社が多く、会社設立当時発起人が7名必要だった時代の会社が多く、いわいる   名義株の株主が存在し、真の株主の特定が難しいのです。

(2)株主が特定できたとしても、株主が多数いる場合に、全員の株主から株式を100%買い取るのに   時間と労力がかかります。 

(3)事業譲渡の場合には、原則債権者の同意が必要です。

(4)株主の一人が認知症等であると、成年後見の申立等さらに時間がかかり、株式売買について家庭   裁判所の許可が得られる確証がないことなどです。 

 一方、会社分割を使えば、分社型分割で、買収事業を全て対象会社の完全子会社にした後、会社分割と同時にその完全子会社の株式を買い取れば、少なくとも株主は完全に特定され、第三者に株主権を主張される可能性はありません。 

 さらに、会社分割が便利なのは、分割計画書や分割契約書に資産と負債を明記しますので、株式譲渡のように簿外債務(対象会社が他の会社の連帯保証人になっていたり、過去の税務処理が誤っているようなケース)を、承継する可能性を低減することができます。また、免責の登記をすることによりほぼ完全に簿外債務を排除することもできます。 


 「企業再生支援チーム」を、疲弊した企業への「救急救命隊」
として、積極的にご利用いただければ幸いです。



【PDF】で印刷できます。




★Kigyo-saisei★Corporate recovery team★Kigyo-saisei★
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする