★事業を継続すべきか?恒常的な赤字体質の会社
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2011.02.17
司法書士法人H&Wトラスト 代表社員司法書士 原内直哉
【はじめに】
先生方の顧問先に酒類販売会社も数多くあると思われます。
ご存じのとおり酒類販売の規制緩和により,メガスーパーやコンビニで酒類が販売できるようになり,地域に根付いた老舗の酒屋の売上減少により,店じまいする会社や倒産してしまう会社も多くなっていると思われます
【具体的な事案】
私が相談を受けた会社は,K県O市にある二代目の酒類等販売する会社です。
これが二回目の相談になります。
最初の相談は,二代目経営者がシステム金融に手を出してしまい,お店の方へ督促の電話が頻繁にあり,酒屋としてまともな営業すらできないので何とかしてほしいというものでした。
その際に会社の内情も聞かせてもらいましたが,システム金融に手を出すくらいなので大体察しはつくと思われますが,恒常的な赤字体質で粉飾決算を行い,金融機関等には在庫の虚偽報告を繰り返している状況でした。
これまでも何とか債務を圧縮しようと所有不動産を処分したそうですが,時すでに遅く,損害金の発生している債務は大きく,不動産を処分しても経営改善できる程の大きな債務圧縮に至りませんでした。
システム金融の方は,白紙小切手をなんとか回収することができ,通常の営業ができるようになりました。
しかし,これを無くしただけでは債務や赤字体質がどうにかなるわけではありません。
経営者と関わる中で会社の事業を処分するか破産させるかを勧めましたが,私の話には頷きませんでした。
それから1年半経って私の話を思い出して再度相談に来たわけです。
酒屋は親戚同士で販売店や問屋にわかれて営業していることがあります。
今回の相談者の親戚は,酒類等の問屋をしており債務をなんとかできるなら事業を引き継いでも良いとの回答を得ています。また,営業上必要な債務の支払いならできる範囲で協力するとの話もいただいています。
【今後どのようなスキームで事業再生?事業継続させるか】
@ 第二会社を設立するなどし事業譲渡によって営業継続するか
→ 経営者は親戚の問屋,現在の経営者は一従業員として働く
A 会社も経営者も同時に破産など法的整理を行う
【問題点】
@ 親戚の問屋に差し入れている保証金は消費税滞納によって差し押さえられている
A 闇金のような個人金融からの債務もある
B 取引先の買掛金がある
C 事業譲渡後に取引先や顧客が継続されるか
【良い点】
@ 古くから地元に根付いており顧客は多い
→ 売上は2億強?ある。
A 会社や経営者に債務の問題があることを知りながらも従業員は辞めないで一生懸命働いている
B 親戚の問屋が事業再生に協力的である
C 売掛金は少ない
現在は,どのような方法で事業再生・事業継続していくか検討している段階です。
どのような決着になったか,改めて本紙でご報告いたします。
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