2017年09月01日

月刊・企業経営サポート情報 bO84

◆後継者をいかに確保するか
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2017.09.01

中小企業診断士 佐々木 文安


 中小企業の事業承継の取り組みで、一番目に取り組まなければならないのが後継者の確保です。後継者の確保については、「そのうちにどうにかなるだろう」と安易に考えている経営者が少なくありません。しかし、これだけは用意周到な準備がなければどうにもなりませんので、早くから確保に取り組むことが重要です。

1.親族内の承継

 親族内承継は、中小企業白書によると、20年以上前は80%以上占めていましたが、最近では40%程度に減少しています。これは、@子供の数が減少した、A子供が別の職業に就いてしまい承継しなかった、Bそもそも承継するのに魅力がなくて承継しなかったなどの理由によるものと報告されています。
 子供への承継は、@早くから経営者として育成ができる、A所有と経営が一致できるなどの大きなメリットがあります。中小企業では、このようなメリットを生かした事業承継が、企業の存続にもっとも相応しいといえます。したがって、現経営者としては、子供から「ぜひ承継させて欲しい」という企業づくりに励むことが必要です。
 しかし、子供がいない場合や、子供がいても様々な理由で事業を継がないという場合には、従業員や外部人材への承継にいち早く切り替えて、事業承継の準備を始めることが大切です。

2.従業員等への承継

 従業員等への承継は、中小企業白書によると、20年以上前は4%程度しかありませんでしたが、この20年間で21%程度に増えました。
 従業員等への承継については、経営の継続性を保ちやすいというメリットがあり、また、有能で真面目な従業員であれば、社内外からも好意的に受け入れられています。
 しかし、所有と経営を一致させる場合、従業員等が多額の株式取得資金を用意しなければならない、借入金に経営者保証をしなければならないという問題などが発生します。このような問題に対しては、後継する従業員の育成を兼ねて早く昇格させるとともに給与も上げて資金の準備をさせる、企業の経営改善に努め現経営者の段階で経営者保証を外しておくなどの対応が必要となります。

3.社外の第三者への承継

 社外の第三者への承継は、中小企業白書によると、20年以上前は3%程度しかありませんでしたが、この20年間で18%程度に増えました。この承継については、広く適任者を外部に求めることができるというメリットがあり、大口取引先や商社などから招いているケースが散見されます。
 しかし、社外の第三者の場合、自分が想像していた経営状況と現実があまりにも違い過ぎやる気をなくすという問題や、従業員となじまないという問題が発生することがあります。このような問題を抑えるためには、第三者をすぐに経営者に据えるのではなく、まず、顧問などの立場で迎えて業務を経験してもらい、その上で経営者にするかどうかを決めるというやり方が賢明のように思われます。
※チーム名が変更となりましたので、本号よりデザインを刷新させていただきます。






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2016年09月01日

中小企業等経営強化法について

▲中小企業等経営強化法について
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2016.09.01


 2016年7月1日に「中小企業等経営強化法」が施行されました。この法律では、中小企業・小規模事業者・中堅企業等を対象として、(1)各事業所管大臣による事業分野別指針の策定や、(2)中小企業・小規模事業者等への固定資産税の軽減や金融支援等の特別措置を規定しています。
 中小企業・小規模事業者等が、この法律に基づくメリットを享受する場合、「経営力向上計画」を作成し事業所管大臣に申請し認定を受けなければなりませんが、実質2枚の簡素な計画で良いとされています。また、経営革新等支援機関による支援も掲げられておりますので、会計事務所の顧問先に対するサービスの一環として取り組まれても良いものと思われます。


1.中小企業等経営強化法のスキーム
 (1) 事業分野別指針の策定
    各事業所管大臣が、事業分野ごとに生産性向上の方法などを示した指針を策定する。
 (2) 経営力向上計画の認定
    中小企業・小規模事業者や中堅企業は、自社の生産性を向上させるための人材育成や財務管理、    設備投資などの取組みを記載した「経営力向上計画」を各大臣に申請する。
    認定を受けた事業者は、様々な支援措置が受けられる。
 (3) 認定経営革新等支援機関による支援
    中小企業・小規模事業者や中堅企業は、認定定経営革新等支援機関(主に商工会議所、商工会、
    中央会、金融機関、士業等)による計画策定の支援が受けられる。

2.認定を受けた事業者への固定資産税の軽減措置
 (1) 中小企業者が取得する新規の機械装置について、一定の要件を満たした場合、3年間、
   固定資産税を1/2に軽減する。

3.認定を受けた事業者への金融支援措置
 政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証により、円滑な資金
 調達を支援する。具体的には、下記の通り。
 ・商工中金による融資・・・中堅クラス向け、中小企業者向け。低利融資
 ・中小企業信用保険法の特例・・・中小企業者向け。普通保険等の別枠の追加保証や保証枠の拡大
 ・中小企業投資育成株式会社法の特例・・・中小企業者向け。資本金3億円以上の先も対象
 ・日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット・・・中小企業者向け。信用状発行
 ・中小企業基盤整備機構による債務保証・・・中堅クラス向け。保証額最大25億円実施
 ・食品流通構造改善機構による債務保証・・・中堅クラス向け、中小企業者向け。
以上

経営強化法でご相談のある方は、企業再生支援チームかBAC事務局までご連絡下さい。






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2015年12月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO68

  東京都と地域の金融機関とが連携して実施する融資制度
◆東京都新保証付融資制度
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2015.12.01


 東京都新保証付融資制度は、運転資金の確保などにより事業継続に苦しむ中小企業を支援する目的で、平成21年度に制定されました。しかし、取扱金融機関が限られていることから広く知れ渡っていません。
 制度の目的と制度の内容は下記の通りですが、保証機関の保証だけで借りることができ、中小企業にとって使い勝手は良いものと思われます。会計事務所におかれましては、資金繰りが厳しい顧問先などにご紹介されてはいかがでしょうか。なお、制度内容や適用金利については、随時変更されますので、関係先にお問い合わせください。

1.制度の目的

 高い技術力や優れたビジネスプラン等を有しているにもかかわらず、当面の事業継続に必要な運転資金等の確保に困窮する中小企業者に対し、東京都と地域の金融機関が連携することにより、資金繰りを支援する。


2.制度の内容
 【利用対象】
  ○都内に事業所(住居)があり、保証対象となる業種を営んでいる中小企業者(農林・漁業、遊興娯楽業のうち風俗関連営業、宗教法人等は対象外)
  ○原則として租税の未申告、滞納がないこと
  ○許認可等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けていること
  ○取扱金融機関と一定期間の融資取引があり、債務の履行遅滞がないこと
  ○その他規定する要件を満たすこと

 【融資条件】
  【オリックス兜ロ証付融資】
  ・資金使途:事業性資金
  ・融資限度額:100万円以上1,000万円以内
  ・融資期間:5年以内(一部7年以内も可)
  ・融資利率:年2.4%以内(3年以内)〜年2.6%以内(5年超7年以内)
        年2.8%以内(5年超7年以内)、
        ただし、経営力強化保証制度に関する融資残高がある場合には異なる
  ・信用保証料:保証機関の定めるところによる
  ・連帯保証人:原則として、法人の場合は代表者全員、個人事業者は不要
  ・物的担保:原則として不要

  【全国しんくみ保証兜ロ証付融資】
  ・資金使途:運転資金・設備資金
  ・融資限度額:50万円以上500万円以内
  ・融資期間:5年以内
  ・融資利率:年2.4%以内(3年以内)、年2.6%以内(3年超5年以内)
        ただし、経営力強化保証制度に関する融資残高がある場合には異なる
  ・連帯保証人:原則として、法人の場合は代表者全員、個人事業者は不要
  ・物的担保:原則として不要

 ○さらに詳しくは、下記ホームページにアクセスして確認してください。

【問い合わせ先】
 ○制度に関する問い合わせ先:東京都産業労働局金融部金融課
 ○電話 03−5320−4877 受付時間月〜金9:00〜17:00

【取扱金融機関】
 (地方銀行)東日本銀行
 (信用金庫)さわやか信用金庫、東栄信用金庫、小松川信用金庫、西武信用金庫、
       昭和信用金庫、城北信用金庫、青梅信用金庫、東京信用金庫、
       興産信用金庫、城南信用金庫、亀有信用金庫
 (信用組合)あすか信用組合、全東栄信用組合、文化産業信用組合、東京厚生信用組合、
       東信用組合、江東信用組合、青和信用組合、中ノ郷信用組合、
       共立信用組合、七島信用組合、大東京信用組合、第一勧業信用組合、
       北部信用組合

【スキーム図】
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【PDF】で印刷できます。



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2015年03月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO60

▲シンジケートロ−ンの注意点
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 2015.03.01



 シンジケートローンとは、大企業のプロジェクトなどの資金調達に対し、一金融機関で資金融資が困難な場合、中心となる金融機関が他の複数の金融機関と協調して、同一の融資条件のもと、同一の時期に、同一の融資契約書に基づいて貸し出すというものです。
 しかし、最近では中堅・中小企業に対してもシンジケートローンによる資金調達の勧誘が幅広く行われています。
 シンジケートローンは、下記の通り一般の貸付と大きく異なる条件で取り組まれます。この条件は中小企業にとって厳しいものなので、よく理解して取り組むことが大事です。

1.通常の融資とは異なる条件
(1)「貸付実行の前提条件」
 シンジケートローンの場合、通常、契約締結日から融資実行日までの間が数日空いており、この間に参加金融機関が個別に貸付実行前提条件を充たしているかどうかを判断します。
 貸付実行前提条件を1つでも充足しないと判断した場合は、その金融機関からの貸付は実行されないことになります。

(2)「表明・保証事項」
 シンジケートローンの場合、契約時や貸付時にこれらの表明及び保証に反する事実があれば、貸付実行前提条件を充足しないということで貸付が実行されないことになります。
 表明・保証事項の内容としては、表明・保証が真実かつ正確であること、計算書類等の正確性や重大な訴訟係属がないことなどがあり、さらには、期限の利益の喪失事由発生のおそれがないことなども含まれる場合があります。
 そして、表明・保証事項に反する事実の有無は貸し手である銀行が判断するので、単なる客観的事実の有無ではなく評価的要素も含まれることになります。借り手企業が、表明及び保証に反する事実はないといくら主張してみても通らないことがあります。

(3)融資期間中に債務者企業が遵守すべき義務
 シンジケートローンの場合、年度ごとの財務状況の報告義務に加え、重要な資産の処分の制限、新規の借入の制限、格付けの維持、財務制限条項の遵守などの条項が設けられています。
 これらの制限を解除してもらうためには、参加金融機関の一定多数(融資残高の過半数や3分の2以上など)による承認が必要とされます。
 特に、財務制限条項は、決算期の自己資本比率やキャッシュフローを一定以上に維持することなど、財務上の制限を定めています。この条項に違反すると、期限の利益喪失事由に該当することになりますので、債務者企業として大変に重視しなければならない条項です。

2.手数料
 シンジケートローンでは手数料がかかります。通常の金利に加え、アレンジャーに支払うアレンジャーフィー、各金融機関に支払うアップフロントフィー、融資期間中にエージェントに支払うエージェントフィーなどが手数料として発生します。一時的に多額の出費を余儀なくされるということになります。


 シンジケートローンでご相談のある方は、企業再生支援チームかBAC事務局までご連絡下さい。

以上





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2014年07月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO52

◆経営者保証に関するガイドライン
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2014.7.01

中小企業診断士  佐々木文安

 「経営者保証に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)は、2014年2月1日から適用開始されています。これに伴い、日本政策金融公庫は、中小企業向けの経営者の個人保証を免除・猶予する特例制度についていち早く対応しました。また、中小企業再生支援協議会は、これに基づく支援の手順を明確化しました。しかし、民間の金融機関では取組みが徹底していません。
 適用開始してから数ヶ月たった現時点で、このガイドラインの内容を再度確認するとともに、出てきた問題への対応について考えてみたいと思います。

1.ガイドラインの内容

(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財   産99万円に加え、年齢等に応じて100万円〜360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けら れることなどを検討すること
(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
 などを定め、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や早期事業再生等ができるよう にしています。そして、第三者保証人についても、上記(2)(3)については経営者本人と同様の取扱とし ています。



●ガイドラインの詳細は、下記をご覧ください。
日本商工会議所 http://www.jcci.or.jp/news/2014/0116130000.html
全国銀行協会  http://www.zenginkyo.or.jp/news/2014/01/16130000.html


2.ガイドライン適用に際して出てきた問題と対応策

(1)法人と個人が明確に分離されていても、民間金融機関から経営者の個人保証を求められる。
   中小企業では、ガイドライン適用開始後でも、優良な財務内容でない限り経営者の個人保証が求められ  ているのが実態です。この背後には、経営者の経営手腕と中小企業の事業基盤に対する金融機関の不安が  あり、それを経営者の財産でカバーしようという意図が窺がえます。
   この問題に対応するには金融機関の不安を除去する必要があります。その方法としては、金融機関が納  得するレベルの「経営改善計画書」を作成し、これに基づく経営の実践を通して企業の信用(=財務内容  の改善)を上げていくことが必要と思われます。また、ガイドラインの趣旨を話し、企業を理解してもら  うための粘り強い交渉も必要となります。
(2)優良企業でも、個人保証解除に際し金利の引き上げを求められる。
  優良な中小企業では個人保証解除が進行していますが、解除に当たって金融機関から金利の引き上げを 求められているのが一般的です。これは、企業だけでは信用度が落ちるという判断に基づくものです。こ れがネックになって個人保証解除を諦めているところがあります。
  しかし、筆者の知る限り、民間の金融機関が信用リスクに基づく基準金利を決める際に、経営者個人保  証の有無は根拠になっていません。したがって、あくまで企業の信用力をベースに現在の適用金利を継続  してもらうべく粘り強く交渉することが大事です。ガイドラインの趣旨を話して交渉し、金利引き上げな  しで個人保証解除を実現している企業もたくさんあります。  
以上

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