2011年01月17日

月刊企・業再生サポート情報 bO10

◆事事業譲渡をめぐる債権者と債務者の利害衝突について
 企業再生サポート情報-010.jpg
▲PDFでご覧になる方はココをクリックしてください。
 

2011.01.17

弁護士 安達一彦


 
 債務超過会社が再生の手段として、第二会社を設立し第二会社に対し事業譲渡をする事例が数多く見受けられます。

@第二会社が譲渡会社より金融債務を除外し買掛金等一部の債務のみ承継した場合、
A譲渡会社が第二会社に対し無償若しくは低廉な価格で事業譲渡をした場合、

債権者と債務者の利害が衝突し訴訟等トラブルになる事例が多発しております。
 
債権者はどのような理論で、債務者に対し責任追及するのでしょうか。


1.事業譲渡とは
 
事業譲渡とは、営業目的のため組織化された有機的一体として機能する財産(商号、暖簾、取引先など無形の価値があるものを含む)を譲渡することをいいます。

事業譲渡の存在理由は、

@従業員取引先等会社を取り巻く人々の保護となる 
A譲受会社にとって新規に事業を展開するより時間的経済的効率性が高い 
B譲渡会社の固定資産等有機一体的資産が維持されるので社会経済的観点からして有益であるところにある

と言われております。



2.事業譲渡のメリットとは

 事業譲渡には、
@会社分割や合併と異なり債権者に対する異議催告手続きが不要とされており手続の簡略性があること
A譲渡会社・譲受会社の両当事者間の契約により譲渡財産を選別のうえ必要な事業のみを承継することができること
B簿外債務を承継する危険性がないこと

の各メリットがあります。



3.事業譲渡をめぐるトラブルとは

(1)法人格否認の法理について
 第二会社が買掛金等一部の債務のみ承継した場合、除外された債権者は債権者に対する支払いを免れるために第二会社が設立されたものであるとし、第二会社に対して支払いを求める場合があります。

 その場合の理論として法人格否認の法理が主張されます。

法人格否認の法理は、第二会社が形骸化され第二会社の設立が濫用され実質的にみて譲渡会社と第二会社が同一視できる場合に、第二会社は譲渡会社の債務について支払責任があるとする理論なのです。

判例は、譲渡会社と第二会社が実質的に同一視できるか否かの判断要素として次の判断材料に着目しております。

@ 会社の目的及び営業内容に共通性があるか
A 本店所在地が同一場所であるか
B 株主構成に共通性があるか
C 譲渡会社の代表取締役が第二会社に対し資本金を拠出しているか
D 役員に共通性があるか
E 譲渡会社の代表取締役が第二会社より利益分配を受けているか
 
そして、譲渡会社と第二会社を比較し上記判断材料@ないしEの多数に共通性があるとき、
譲渡会社と第二会社が実質的に同一視できると認定しているのです。
 
そこで、皆様が相談者に対し第二会社を設立をお勧めする場合、
上記@ないしEについて共通性がないようご指導することが訴訟リスクの回避につながるということにご留意下さい。



(2)詐害行為取消の法理について
 
譲渡会社が第二会社に対し無償若しくは低廉な価格で事業譲渡をした場合、
債権者は事業譲渡が詐害行為に該当するとして事業譲渡契約の取消を求める場合があります。
 
詐害行為取消の法理は、債権者は平等であるということを根本理念としており、
民法第424条に「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。」
と詐害行為の要件と効果を規定しております。

 皆様は、相談者に対し事業譲渡に際しデューデリジェンス(適正手続)を貫徹することをお勧めして下さい。

デューデリジェンスの典型は、譲渡資産の評価ですが、第二会社設立を企図する相談者に対し、
譲渡資産(不動産、株式、営業権等)の評価を不動産鑑定士・税理士・公認会計士等有資格者により公正に施行することを説得するべきです。
 
債権者は、第二会社が譲渡会社に対し支払った事業譲渡の対価を譲渡会社が債権者に対し債権額に応じ公平に分配することを期待していることに注意喚起するべきです。


【PDF】で印刷できます。





◆Kigyo-saisei◆Corporate recovery team◆Kigyo-saisei◆
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△



posted by 支援チーム at 18:08| Comment(0) | ◆法律家からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月11日

月刊「企業再生サポート情報」bO05

★企業の経営危機に際し、どのように対応するか
    (再建をテーマとして)

企業再生サポート情報-005.jpg
▲PDFでご覧になる方はココクリックしてください。

2010.08.11

弁護士 安 達 一 彦


 中小企業の場合、経営者の保有資産が少なく資金調達能力に限界があるだけに事業活動から生じるトラブル、事故・災害などのトラブル、社員が引き起こすトラブル等ちょっとしたトラブルから経営危機を招来する可能性があります。
 企業の経営危機に際し、どのような手続選択が考えられますでしょうか。


1.再建か、清算か

 企業を再建するか、清算するかのメルクマールは「営業利益」と「人」及び「資金繰りの検討」にあります。

  「営業利益」を計上している会社は、無借金ならやっていける会社といえますので再建できる可能性が高いのです。

 企業は「人」「物」「金」によって成り立っているといわれており「人」の要素は重大です。経営者、従業員に私財の提供等を含め再建に対する熱意と実行力がなければ再建がおぼつきません。

 再建にあたっては、再建資金の準備と支払いの優先順位の検討等「資金繰りの検討」が必要です。

 一般債権者に対する弁済の前に、手形支払い・従業員の給料・材料費・公共料金・賃料等維持費等を優先して支払う必要性があるとの認識が重要なのです。



2.法的手続か、任意整理か

 企業を再建するとして、どのような手続を選択したら宜しいでしょうか。

 法的手続には、民事再生・会社整理・会社更生等があります。

 法的手続は、暴力団等和解交渉が不適切な債権者が存在する場合、個別の執行を強行しようとする非協力的債権者がいる場合、債権者に対し信頼感・公平感が得られない場合、これを選択するメリットがあります。

 任意整理とは、法的手続によらないで債務者と債権者相互間の合意により企業を再建する手続です。

 任意整理を選択するメリットは次のとおりです。


(1)管轄の制約がない。

 任意整理は、各債権者との和解交渉であり裁判手続を利用しない制度ですから裁判管轄が存在しません。
裁判所という限定された場所及び期日という日時の制約なしに、遠隔地であっても手紙・電話・ファクスを利用して債権者との交渉が可能です。

(2)コストが安い。

 法的手続は、裁判所に予納金を納付する必要性がありコストがかかります。

(3)迅速性がある。

 法的手続は、監督委員等の選任・和解案の提出期間・債権者説明会等裁判所の定めたスケジュールに制約されますので迅速性にかけます。

(4)法的手続が障害となる場合がある。

 法的手続が賃貸借契約の解除原因となっている場合や、法的手続の申立により指名入札参加資格が失われる等法的手続が再建の支障となる場合がありますので慎重な対応が望まれます。

(5)代理人がイニシアチブをとれる。

 任意整理においては、裁判所から選任された監督委員等によらず代理人が主体的に債権回収、資産の換価をすることができまた債権者との和解交渉が可能です。



3.再建の手法として、何が考えられるか


 再建の手法として、合併・会社分割・事業譲渡・株式交換・株式移転等があります。
 それぞれの利害得失がありますので、専門家にご相談されることをお勧めいたします。


【PDF】で印刷できます。





★Kigyo-saisei★Corporate recovery team★Kigyo-saisei★
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

posted by 支援チーム at 11:49| Comment(0) | ◆法律家からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。