2018年05月01日

月刊  企業経営サポート情報 bO90

◆特許調査による開発の効率化〜事前調査・分析のまとめ〜

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2018.05.01

弁理士  酒 井 俊 之


1.調査を行わないリスクとは?
 特許調査を行わない開発は大きなリスクである。
 調査を行わないリスクとしては、(1)重複研究・重複開発が挙げられる。すなわち、先行の研究・開発が存在しているにもかかわらず、同じ研究や開発を行ってしまうとリスクである。言い換えれば、やらなくてもいい投資をしてしまうということになる。
 その他のリスクとしては、(2)特徴・優位性が出せる開発対象の特定ができないまま、研究や開発を行ってしまうというリスクである。要は、当てもなく研究や開発を行うというリスクである。
 そして、(3)侵害のリスクを背負い続けるというリスクもある。すなわち、ずっと、侵害しているかどうか、不安なまま事業を行うことになる。これでは、自信をもって、自社の商品、製品やサービスを提供できない。
 さらに、(4)どのような会社が競合になるか、市場におけるプレーヤーをよく把握せずに、その市場に居る(新規事業で入る)というリスクもある。

2.調査を行った上での開発の場合は?
 一方で、特許調査など必要な知的財産関係の調査を行った上での開発では、上記(1)〜(4)のリスクがすべてプラスに転じてくる。すなわち、(1)重複研究・重複開発を回避して、(2)特徴・優位性が出せる開発対象の特定を行った上で開発が行える。これにより、回収の見通しをもった投資が可能となる。
 また、(3)予め侵害リスクを把握することができ、侵害リスクを払拭して、自信を持って売り込みもできる。
 さらに、(4)競合他社を予め認識することができ、競合他社を意識した開発戦略が可能となる。
 
3.特許調査による開発の効率化
 このように、特許調査を行った上で開発を行うことで、リスクを低減しながら、開発の効率化、そして開発成果の最大限の活用を図ることができる。
 すなわち、膨大な特許情報の中から特許調査による必要な情報を取り出し、これを活用することで、今後の企業戦略を策定できる。

4.最後に
 中小企業であれ、大企業であれ、多くの企業は、業務の効率化を図り、コストダウンをしているのに、知財情報を使った開発の効率化をしない手はない。
 今こそ、積極的に知財情報を使った開発の効率化にトライされるのが賢明であると思われる。


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2017年04月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO82

◆著作権による技術的な保護?
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2017.04.01



1.特許出願費用は高いから、著作権で保護を?

 随分前になるが、上場企業への技術の売り込み文書を見る機会があった。売り込み文書は、個人から企業まで様々であるが、個人のほぼ9割以上が、知的所有権(著作権)登録による売り込み文書であった。
さらに、驚くべきことに、個人の売り込み文書の文面が、案件の名称以外、ほぼ同じであった。
これは、民間業者が、『特許出願費用は高いから、著作権で保護を・・』とのうたい文句で、個人を騙して、さらに、売り込み文書の講習会を開催しているからであろう。

2.著作権で技術内容の保護ができるか?

 確かに、特許出願費用は、特許事務所に支払う出願書類の作成代は、20〜30万、さらに、特許庁での審査費用も、15万程度はかかる。
 これを個人が負担する場合を考えると、民間業者の『特許出願費用は高いから、著作権で保護を・・』との知的所有権(著作権)登録商法で、騙されてしまうのも納得がいく。

ここで騙される手順を整理すると
(1)民間業者は、技術内容を記載した文書や図面を作成するように指示をする。そして、
(2)民間業者は、作成された文書や図面を、預かり、文化庁への登録を行う。
(3)これにより、作成された文書や図面が著作権として保護されたかのように誤解させる。

騙されるポイントは…
(1)表現された形を保護する著作権では、技術内容を説明した文書は、言語の著作物として、(技術内容そのものではなく)その文章表現が保護される。同様に、技術内容を説明する際に作成した図面は、図表の著作物として、(技術内容そのものではなく)その図表表現が保護される。
 すなわち、内容は全く関係なく、子供が書いた作文でも、子供がチラシの裏紙に書いた絵でも、何らかの表現の形になっているものは、著作物として保護されるにすぎない。内容が保護されるわけでないので、別の人間が同じ技術内容を別の文書・図面に表わした瞬間に、全くのコピー以外は、侵害だとは言えないことになる。
(2)さらに、著作権は、表現物の完成と同時に自動的に発生するので、文化庁への登録は任意である(むしろ、創作年月日を著作物に明記するなどして、文化庁への登録は通常行わない)。
(3)最後は、著作権は、自動的に発生しているのに、文化庁への登録により発生したように思わせ、手続費用や権利の維持費用を搾取する。

3.残念ながら、いちいち騙されていることを教えてくれない

 知的所有権(著作権)登録による売り込み文書に対して、売り込みを受けた会社側は、いちいち騙されていることを、説明したり、教えてはくれない。

 概ね、『弊社では、外部提案は一切受け付けておりません。』の一言で片づけられて終わりである。
気になることがあれば、早めに、弁理士や行政機関(特許庁や各都道府県の知財総合支援窓口)などに相談することが大切であろう。





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2016年08月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO75

★特許の取得とそのリスク
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2016.8.01


1.特許を取得する目的

 特許や商標(ブランド)の相談では、概ね、自社で新製品を開発したので、その成果を特許出願の形にしたいであったり、新しい商品やサービスの名称が決まったので商標出願したいといった依頼が多い。
 このように、特許を取得する目的の第1には、自社の製品を守ること(商標では自社の社名や商品やサービスを守ること)にある。これにより、自社の事業を守ることが、知的財産権の目的となる。
 第1の目的の裏返しにもなるが、第2の目的は、他社の排除である。他社が、同一製品や類似製品を販売することを阻止することである。

2.特許出願をするリスク

 権利を取って、自社の製品を守るのだから、他社を排除できるのは当然だとうと思うかもしれないが、ここには大きなリスクがある。
 まず、特許出願をしただけの出願段階では、特許権が発生しているわけではないので、出願後1年6カ月で強制的に内容が開示され、タダで、他社に自社の新製品の技術を教えてあげることになってしまう。
 いずれ権利化されて、他社を排除できるのだろうと思うかも知れないが、当然、審査の結果、拒絶になり、権利化できないリスクもある。特許査定の割合が概ね70%であることに鑑みれば、30%の権利化できないリスクは大きい。

3.特許になった後のリスク

 仮に、権利できたとしても、審査の過程で限定が必要になった場合には、その限定事項がずっとその権利には付きまとうリスクもある。すなわち、その限定事項を他社がやらなければ、侵害にはならないのだから、限定事項によっては、権利があっても他社にとっては容易に回避できて、無いのといっしょということになる。
 さらに、然程の限定もなく無事に特許になっても、いざ他社に権利行使をしようとすると、他社から権利無効の主張をされ、最悪、無効審判で本当に権利が無効となって取り消されてしまうリスクもある。
 すなわち、特許権者であれば、製造・販売・輸入・輸出・販売等の申出(展示)を含むすべての行為が独占できて、他社を排除できる。そのため、他社が無断で製造していれば、そのラインを止めることができし、無断販売も止めさせることができる(差止請求可能)。また、過去の侵害分に対しては、侵害による損害賠償も請求できる。
 しかしながら、これはすべて権利が有効である前提である。特許庁での審査では発見されなかった、より近い先行技術文献を発見すれば、特許自体を無効にして初めから存在しなかったということができてしまう。
 このような無効資料を発見するのは、不可能ではと思うかもしれないが、特許庁での審査経過を詳細に検討し、審査段階では見ていない特許分類等に着目することで、1件くらいの特許であれば比較的容易に潰す資料を準備することができる。
 余談になるが、私の所属している特許事務所でも、権利化の仕事量と同じくらい特許調査の仕事もしている。その中には、当然、このような無効資料を見つける無効調査も多数存在している。
 このように特許出願のリスクや特許になった後のリスクを考えると、そもそも、特許出願しないのが得策のようにも感じられるかも知れない。すなわち、ノウハウで秘匿し、特許出願しないという選択である。

4.ノウハウ秘匿のリスク

 しかし、ノウハウ秘匿のリスクは、その後、他社にノウハウの内容で特許を取得されるリスクがある。例えば、自社の工場内で使わる製造ノウハウなどは、ノウハウとして秘密に管理して、特許出願をしないことがあるが、製造ノウハウについて、後日、他社が製造方法の特許を取得してしまうという場合である。
 この場合には、まず、形式的には、他社の製造方法の特許を侵害する行為になり、場合によっては、権利行使される可能性がある。
 当然、その製造方法の特許出願前から、自社の工場内で実施しているので、その特許権に対抗できる先使用権を主張することができるが、先使用権の証明は、先使用権を主張する者、すなわち、そもそも特許出願をせずにノウハウ秘匿していたものに課せられる。
 そのため、特許出願をせずにノウハウ秘匿を選択するのであれば、将来、先使用権を主張するために、自社の実施内容や実施開始時期等の客観的資料を準備しておく必要がある。
 さらに、先使用権は、自社の実施の範囲に限定されるため、将来の事業の拡大等では、先使用権を主張できないリスクもあることに注意が必要である。

5.それでは、どうすればよいか?

 答えは、簡単である、『特許出願と特許とノウハウ秘匿』を使い分けることである。特許出願と特許とノウハウ秘匿には、それぞれ一長一短があるので、これらを組み合わせて、それぞれ使い分けることである。
 例えば、特許は取得しておきながら、常に、出願中で権利状態の確定しない特許出願を数件持っておくことで、競合他社は、確実に回避せざるを得ない特許に加えて、権利範囲が確定しない特許出願で開発方向を確定できないことになる。
 さらに、加えて、出願公開前の特許出願を持っておくことで、これから何か出てくるか予測不能な隠し玉が、競合他社の開発投資にブレーキをかけることになる。なぜなら、先に開発投資をした後に、出願公開されると、後発の重複開発・重複研究に投資をしたことになってしまうためである。
 ここに、ノウハウ秘匿を組み合わせることで、量産化技術など、コスト面での競争優位性を獲得していくことができる。ここで、ポイントになるのは、特許の取得や特許出願をした上で、ノウハウ秘匿をする点である。特許の取得や特許出願があることで、他社のノウハウ内容での特許出願やその権利化を封じ込めることができるためである。

6.最後に

 実際に、弁理士の力量は、クライアントのビジネスモデルや収益モデルから、早期に特許を取得すべき内容、特許出願で長く係属させておく内容、そして、ノウハウで秘匿すべき内容を切り分けて、事業における競争優位性を構築するところにある。





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2015年11月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO67

▲新規事業の立ち上げと事業譲渡
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2015.11.01


1.新規事業の立ち上げ

 近年、弱電系を中心に、新規事業の立ち上げに伴う、知的財産の相談が増えてきている。ご存知のように、家電業界やエレクトロニクス業界の不況の煽りで、“生き残りをかけた”本業以外への進出が進んでいる。
 当然、新規事業となると本業とは異なる事業領域であるため、十分な情報がなく、事業戦略があいまいなまま進んでしまうケースが多い。

2.新規事業の知財サポート

 このような企業に対して、知的財産のサポートを行う場合には、知的財産情報から簡単に判ることを積み上げて整理することが多い。
 すなわち、新規事業分野で特許調査を行うことで、(1)誰が権利者(プレーヤー)で、(2)どのような権利を保有しているか、(3)さらに最近の出願件数は、などは、簡単に判る。
 このような特許調査の結果(特許から判る開発状況)と、企業側が集めた既存製品の情報(市場における実製品の情報)とを照らし合わせていくことで、ターゲットとすべき市場や開発すべき対象が絞られてくる。
 また、このようなプロセスを踏むことで、予め抵触する特許を回避することや、既存技術の重複開発を回避することができ、自社の開発した成果の権利化も期待できる。これは知財リスク・開発リスクの大いなるヘッジである。

3.事業譲渡

 新規事業の立ち上げが順調にいっても、立ち上げた新規事業を譲渡するケースも近年散見される。
 余談になるが、新規事業の立ち上げがうまくいかなかったり、うまくいってもその事業自体を譲渡せざるを得ないのは、もともと本業が不振になった後に、新規事業の立ち上げを開始していることの影響が大きいように感じられる。すなわち、本業との関係で、資金的・人材的・時間的に新規事業の立ち上げに専念できず、いずれにしても新規事業が長続きしないようである。
 その意味では、知財を使って資金面も含めた事業安定性が確保できることが望ましいが現状では、そこまでは難しいようである。
 一方で、立ち上げた新規事業を手放す場合、事業自体の評価(収益性)が主となるが、知財回りをしっかりしておこくことで事業譲渡の成功につながったケースに、ここ数カ月で2件ほど関わることになった。

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4.サポイン事業に関する事業譲渡〜具体的事例1〜

(1)事業譲渡の背景
 経済産業省系の補助金事業である、サポイン(戦略的基盤技術高度化支援)事業で、電子部品の開発を行った成果および事業体制を含めた事業譲渡について紹介する。
 開発の成果は、国内外の特許権、意匠権および商標権と、生産技術に関するノウハウである。また、事業体制については、@企画・設計を行うPL企業 A材料供給・一次加工企業、B二次加工企業、C特性評価企業+外部支援(管理事業体・公設試験場大学・特許事務所)であり、外部支援の部分を除くコンソーシアム部分を事業譲渡の対象としている。
 サポイン事業で、電子部品の開発を行い、開発目的の特性を有する製品自体は完成したが、具体的受注が得られなかった。すわなち、展示会出品等を通して引き合いは来るが、受注に繋がらない、プロダクトアウト型の典型例である。

(2)なぜ事業譲渡できたか?
 なぜ、このような事業でも事業譲渡できたかは、次の(i)〜(D)の要因が“特に知財的な観点で”大きいと言える。
 (@)開発段階でのクリアンス調査
  ⇒開発段階で、その物の製造・販売が他人の権利侵害となるかと調査する実施可否調査を行い、権利侵   害が無いことを確認していた。正確には、権利侵害の可能性があり、設計変更を行い、変更後の製品   について非侵害の鑑定書を準備していた。
 (A)ポートフォリオ形成
  ⇒設計変更を行った製品について、その設計変更事項自体を特徴とする特許出願・意匠出願を網羅的に   行い権利化していた。また、特許権・意匠権と組み合うノウハウを明確にしていた。
 (B)PL企業集中の権利化
  ⇒開発成果について、プロジェクトリーダーである(PL)企業に意図的に集中させていた。
 (C)生産体制としてのアライアンス
  ⇒生産体制のアライアンスが利益配分も含めた契約書上も担保されており、アライアンス自体の譲渡が   できる形となっていた。
 (D)知財評価 
  ⇒数十万でできる簡易的な価格算定を利用し、参考価格を取得することで譲渡対価のベースを形成する
   ことができた。

(3)最後に
 上記(i)〜(D)は、我々知財の専門家を介した、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成であり、これを安定的に維持するためのツールに等しい。すなわち、事業譲渡できる形態を意識するのではなく、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成を意識することで、結果として事業譲渡ができたに過ぎない。

5.六次化事業の事業譲渡〜具体的事例2〜

(1)事業譲渡の背景
 電子部品の組み立て会社が六次化事業を立ち上げ、FC(フランチャイズ)企業も含めて、この六次化事業を事業譲渡した事例について紹介する。
 この六次化事業は、機能性食品の量産化として注目され、出口側である販路についても確保され、価格維持が可能な安定したモデルとなった。そして、その安定した収益性ゆえに、上場企業を含めた5〜6社のFCによる生産体制が構築された。
 六次化事業に成功した電子部品の組み立て会社は、@ノウハウを含む技術指導利益、AFC先への機器供給・消耗品供給による利益、B生産物の全数買い上げによる卸利益を生み出す収益モデルを形成することができた。
 一方で、電子部品の不振で赤字が雪だるま式に増え、要注意先として金融機関のニューマネーが入らない状況が生じ、事業資金が不足する事態となった。
 さらに、六次化事業は、社会的には注目されるものの、新規事業の立ち上げ段階で利益は小さく、これまでの開発費を回収するには到底及ばないものであった。
 すなわち、本業が不調となってからの新規事業の立ち上げの典型であるが、運転資金が続かず、せっかく立ち上げた新規事業も含めて、会社自体の経営が非常に不安定な状況となっていった。

(2)なぜ事業譲渡できたか?
 なぜ、このような事業でも事業譲渡できたかは、次の(i)〜(D)の要因が“特に知財的な観点で”大きいと言える。
 (@)FCを含む生産体制としてのアライアンス
   形式的は、不振の電子部品と切り離して事業譲渡が可能なパッケージとなっていたこと、さらにFC  を含めて収益性が数字として読める状態となっていたことが表面的な要因と見えるが、これらを担保す  るように、FC契約書など各種契約書が、契約上互いに権利義務が明確化されていた。
 (A)ノウハウ管理
   実は、上場企業がFC傘下に入ったのは、このノウハウおよびノウハウ管理にあったと言っても過言  ではない。単なる業務提携ではなく、上場企業といえども技術指導がないと生産および生産管理ができ  ないためである。
   そして、このノウハウがマニュアル化され、何がノウハウ(財産)が明確な形で管理されていたこと  が、次の知財評価(事業譲渡対価の評価)でも評価された。
 (B)事業性評価
   ノウハウを含む本格的な事業性評価として、予め参考価格を取得することで譲渡対価のベースを形成  することができた。
   その中では、@市場性、A特許・商標(ブランド)、Bノウハウ、CFCを含む事業性、Cこれらか  ら想定される収益性が本格的に事業性評価がされた。
 (C)権利の集中
   開発段階では、協力会社が外部コンサルも関わってもいたが、意図的に権利を自社に集中させていた。

(3)最後に
 上記(i)〜(C)は、前述の第1事例同様、我々知財の専門家を介した、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成であり、これを安定的に維持するためのツールに等しい。すなわち、事業譲渡できる形態を意識するのではなく、自社のビジネスモデル(収益モデル)形成を意識することで、結果として事業譲渡ができたに過ぎない。
 それと同時に、知財回りをしっかりしておこくことで、少なくとも、途中で事業が売却できるところまでは行けることも判る。






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2014年12月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO57

▲平成26年 特許法等の改正
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2014.12.01



1.知的財産の法改正

 特許法における特許異議申立て制度の復活のほか、商標法における色彩や音の商標を保護する改正が、平成26年4月25日に可決・成立し、5月14日に法律第36号として公布された。
 余談になるが、知的財産に関する法律は、基本的に反対する政党がなく、(緊急性の高い法案の審議で先延ばしになることや、アノニマスのように著作権法の改正に反対する任意集団が公園の掃除をすることはあっても、)ほぼすべて国会を通ってしまう構図となっている。
 今国会でも、職務発明の見直しなど労使間での対立が予想される法案が先送りされたことなどから、平成26年の特許法等の一部改正として、可決・成立した。今後は、公布から1年以内(これまでの法改正から平成27年4月1日と思われる)に、この改正法が施行される。

2.色や音が商標として登録可能に

(1)法改正の必要性
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 法改正には、必要性が求められるが、商標法における色彩や音の商標の保護は、実際に産業界からのニーズが高かったわけではない。
 現行の商標法では、『「商標」は、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合・・・』と定義されており、色彩それ自体、音声、においは、商標の登録対象からは除外されているが、これらを求める社会的ニーズは高くない。
 というのも、色彩それ自体で識別力を発揮する場合は、それが特別なグラデーションになっているような例外的な場合を除いて、非常に限定的である。通常、色彩は、文字や図形等に付される付随的な構成要素に過ぎない。
 また、音や音声が識別力する場合も、それが特別なメロディや和音になっている場合など限定的である。通常、識別力を発揮する商標は、視覚を媒介として認識されるものであることを考えると、当然のことと思われる。
 それでは、なぜ、今回の法改正で、わざわざ色彩や音を保護対象とする法改正を行ったのだろうか?その理由は、韓国に先を越されたことだろう。米国との二国間協定で、日本に先んじて韓国は色彩や音を商標の保護対象としている。

(2)具体的な登録態様
 いずれにしても、我が国でも、法改正により色彩や音が商標の保護対象となった以上、これを自社のブランドとしてどのように活用するかが課題となる。
 例えば、色彩の商標については、図に示す法律案概要の参考資料にあるように、トンボのMONO消しゴムの3色の色彩のほか、コーポレートカラー(例えば、ティファニーブルー)といった1色についても、識別力が認められれば登録可能性が出てくる。
 また、音の商標については、同じように、法律案概要の参考資料にあるような久光製薬のコマーシャルフレーズのほか、インテルのコマーシャルフレーズなども登録されることなる。
 さらに、今回は、商標の定義自体を、『「商標」とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの・・』と変更したことから、ホログラムの商標、動きの商標や位置の商標も登録の対象となる。
 これを機に、自社を識別できる特徴要素をもう一度見直し、商標の積極的活用の機会とすべきであろう。

3.特許異議申立制度の復活

 復活というのは、もともと特許異議申立制度は、平成15年改正の平成16年4月1まで存在していたが、特許無効審判に統合され、廃止されていた。
 特許異議申立は、審査が終了して特許が付与されたものに対し(正確には、特許権の成立を公示する特許公報の発行から6カ月以内に)、異議を申し立てる制度であり、登録の信頼性を高めるものである。
 一方、特許無効審判は、特許権侵害訴訟に伴って当事者間で特許の有効性を争う場合が典型なように、権利の有効性を当事者間で争うものである。
 このように、特許異議申立と、特許無効審判とは目的を異にするものであるにも拘わらず、平成15年改正で統合されたのはなぜだろうか?
 答えは、(いろいろな説明はされているが結局のところ)特許庁の審理負担の軽減が本当だろう。
 そうすると、今回、特許異議申立制度が復活したのは、なぜか?その答えも特許庁の審理負担が少なったから(手が空いているから)というのも一理ある。
 ただ、特許異議申立制度が復活した理由は、もう少し複雑である。というのも、今回は、積極的に特許異議申立制度を復活させる必要があった。

 それは、早期審査の運用による影響である。通常、特許出願した内容が公開されるのは、出願から1年6カ月経過時の出願公開である。そして、この出願公開前に審査が終了するのは稀である。(参考までに、特許付与の平均審査期間は、29月、すなわち2年5カ月である。)
 しかし、早期審査を請求した場合には、出願から1年6カ月経過時の出願公開前に、特許が付与されてしまう。その結果、審査過程で第三者が情報提供を行うことができる情報提供制度が、機能しないという事態となっていた。特許異議申立制度を復活させたのは、このような(情報提供の機会なく)早期権利付与された特許の見直し制度を設ける必要性が生じたことによる。

 余談になるが、実務家として、短期間に特許網を形成する場合には、早期審査を利用することが多い。最初に、コンセプトで数件出願を行い、この数件について早期審査の事情説明書を提出する。早期審査の理由は、(@)中小企業、個人、大学、公的研究機関、TLOによる出願の場合、(A)外国関連出願の場合、(B)実施関連出願の場合、(C)グリーン関連出願の場合、(D)震災復興支援関連出願の場合など、多様であり、どれかには当てはめられる(どうしても困ったら、省エネを謳ってグリーン関連出願にすればよい)。
 そして、出願公開前に、特許査定を1件でも受けたら、これを中心に周辺出願を、この最初の1件の特許公報が発行される前に可能な限り行う。そうすれば、周辺出願は、障害になる先行技術文献がなく、最初の1件と特徴を基本的に同じくするためすべて特許査定に導け、特許網を形成することができる。

 今回、特許異議申立制度が復活するが、このような特許網の形成手法自体は、基本的に変わらない。理由は、特許異議申立制度は、成立した特許の取消のための制度であり、情報提供制度のように、そもそも特許を成立させないための制度ではないからである。
 ただ、特許網のすべての特許を異議申し立てにより取り消すことが困難だとしても、基本特許の1件程度を、関連する論文等を見つけて異議申し立てにより取り消すことはできるだろう。その意味で、今後は、競合他社の動向に注視し、新規開発等に伴う基本特許は、(仮に相手が早期審査により水面下で特許を取得しても)特許異議申立制度により確実に取り消しできるようにされたい。

4.意匠法の法改正

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 複数国に意匠を一括して出願可能なジュネーブ改正協定の加入に先立ち、国内意匠法の規定の整備を行った。
 これにより、意匠については、図に示すように、我が国特許庁を経由して複数の国に一括して出願することが可能になる。
 実際の施行は、ジュネーブ改正協定が我が国において効力を生ずる日以後になるが、海外の模倣品対策などは、意匠権の有無が大きな影響を与える場面もあるため、今後の活用が期待される。






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