2013年09月02日

月刊・企業再生サポート情報 bO42

▲「付加金の支払い(労基法114)」の支払いを受ける場合の所得区分
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2013.09.01


税理士  宮森俊樹


はじめに 

 労働基準法に規定する時間外、休日及び深夜の割増賃金などを支払わなかった使用者に対して裁判の判決により、付加金の支払義務が生ずることがあります。
 そこで、本稿では、付加金の支払を受ける場合における従業員の所得税法上の所得区分について検討することとします。

1 付加金の所得区分  

 「付加金の支払(労基法114)」の規定により支払を受ける付加金は、一時所得とされます(所基通34−1)。
 「一時所得」とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、
@営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、
A労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいいます(所法34@)。
 「付加金の支払(労基法114)」の規定により支払を受ける付加金も、このような性質を有する所得に該当することとされます。

2 付加金の意義

 労働基準法第114条では、裁判所は、次の事由に該当する使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができます。
 なお、直近の判例では、日本マクドナルド事件(東京地裁:平成20年1月28日判決)で、同額の付加金が認められています。

@ 「解雇予告手当(労基法20)」の規定に違反した使用者
A 「休業手当(使用者の責めに帰すべき事由によるもの)(労基法26)」の規定に違反した使用者
B 「時間外、休日及び深夜の割増賃金(労基法37)」の規定に違反した使用者
C 「年次有給休暇中の賃金(労基法39E)」の規定による賃金を支払わなかった使用者

3 実務上の留意点

 労働基準法における付加金とは、従業員が未払給与等をもらった上に、裁判による判決によりさらに最大で同額のお金を請求できるという制度とされています。つまり、付加金制度は、いわゆる「未払給与の倍額払い」の制度であり、所得税法上は、労務その他の役務の対価としての性質を有しないことから、一時所得に該当することとされます。

 ただし、付加金の請求は違反のあったときから2年以内に行わなければならないので留意が必要となります。なお、付加金の請求ができる2年間という期間は時効ではなく、除斥期間とされています。


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2012年08月20日

月刊・企業再生サポート情報 bO29

★居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除

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2012.08.20
 
税理士  宮 森 俊 樹



はじめに


 企業再生を行う際には、やむを得ず経営者の所有している居住用財産(土地・建物)を手放さざるを得ない場合が生ずる。

  そこで、本稿では、経営者が所有している居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例制度のうち、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(措法35)」ついて解説する。


1.適用要件

 個人が、図表−1に掲げる場合に該当する居住用財産を譲渡した場合には、その年分の譲渡所得の金額から特別控除額として3,000万円を控除することができる(措法35)。


【図表−1  居住用財産の譲渡の範囲】

@ 現に居住の用に供している家屋を譲渡した場合

A 現に居住の用に供している家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合

B 災害により居住の用に供されていた家屋が滅失した場合のその家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡した場合

C 居住の用に供されなくなった家屋を譲渡した場合

D 居住の用に供されなくなった家屋とともにするその敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合

2.居住用に供している家屋

 図表−1@及びAに掲げる家屋は、個人がその居住の用に供している家屋(その家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限る。)とされる(措令20の3A,同令23@)。例えば、店舗兼住宅等を譲渡した場合における居住部分の判定は、居住の用に供されている家屋の床面積の比に応じてて行うこととなる(措通31の3−7,同通35−5)。

 また、その者がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとする(措令20の3A,同令23@)。


3.居住用に供されなくなった家屋

 図表−1BからDに掲げる家屋は、個人の居住の用に供されなくなつた日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に限る(措法35@かっこ書き)。
そこで、平成24年分の譲渡における「個人の居住の用に供されなくなつた日以後3年を経過する日」とは、「平成21年1月2日から平成24年1月1日」が適用対象期間となる。

 また、この居住の用に供されなくなった家屋については、その居住の用に供されなくなった日以後その家屋をどのような用途に供した場合においても、上記1の特例の適用対象となる居住用家屋に該当することとなる(措通31の3−14,同通35−5)。

4.特殊関係者に対する譲渡の制限

 上記1の特別控除の規定の適用に当たっては、譲渡の相手先が図表−2に掲げる特殊関係者に該当する場合には適用できないこととされている(措法35@かっこ書き,措令23の2@)。

 また、居住用財産の譲渡が、図表−2に掲げる個人の特殊関係者の範囲に掲げる者に対する譲渡に該当するかどうかは、その譲渡をした時において判定する(措通35の2−3)。


【図表−2  特殊関係者の範囲】

@その個人の配偶者及び直系血族

Aその個人の親族(上記@に掲げる者を除く。以下同じ。)でその個人と生計を一にしているもの及びその個人 の親族で上記2に規定する居住の用に供している家屋の譲渡がされた後その個人とその家屋に居住をするもの

Bその個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計 を一にしているもの

C上記@〜Bに掲げる者及びその個人の使用人以外の者でその納税者から受ける金銭その他の財産によつて生計 を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

Dその個人、その個人の上記@及び上記Aに掲げる親族、その個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使 用人と生計を一にしているもの又はその個人に係る上記B〜Cに掲げる者を判定の基礎となる株主等(所法2 @八の二)とした場合に特殊の関係その他これに準ずる関係(所令4A)のあることとなる会社その他の法人

5.重複適用の禁止

 上記1の特別控除の規定は、「前年又は前々年において既に3,000万円特別控除(措法35)」、「特定の居住用財産の買換えの特例(措法36の2)」、「特定の居住用財産の交換の特例(措法36の5)」、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5)」又は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措法41の5の2)」の規定の適用を受けている場合には、適用できない。


6.手続規定


 上記1の特例の適用を受けるためには、居住用財産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書第三表の「特例的用条文」の欄に「措法35」と記載するとともに、「譲渡所得計算明細書」及び「居住用財産を譲渡した日から2ヶ月を経過した日後にその譲渡した資産の所在地を所轄する市区町村長から交付を受けた住民票の写し」を添付する必要がある(措法35AB)。

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2011年12月06日

月刊・企業再生サポート情報 bO21

▲『平成23年度税制改正』について
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2011.12.06


税理士 宮 森 俊 樹


はじめに

 
 平成23年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案:平成23年1月25日国会提出)は、平成23年6月8日に行われた民主党、自民党及び公明党の3党の幹事長及び政調会長の合意により、2本の法律案として平成23年6月10日に国会に提出されました。

 これら2本の法律案のうち「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」は、平成23年6月22日可決・成立し、6月30日に公布されました。また、残りの法律案である「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案中修正」は、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」とともに、いわゆる「復興財源確保法」として平成23年11月30日に可決・成立し、同年12月2日に公布されました。

 そこで、本稿では、復興財源法のうち、法人税について主な改正内容の概要について、解説することとします。


1 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律中修正

 当初1月25日に提出された法律案から、法人税及び納税環境整備(題名及び目的の改正、納税者権利憲章の作成並びに新たな税務調査手続の追加に係る規定の削除すること)以外の改正項目(例:所得税法及び相続税法関係)が削除等されることとなりました。
そこで、法人税における主な改正項目は、次のとおりとなります。


@国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げること。


A上記@により、国税の法人税率を25.5%(改正前:30%)に引き下げること。


B中小企業者等の所得金額のうち、年800万円以下の金額について適用される軽減税率を15%(改正前:18%)に引き下げること。


C平成24年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0 倍した数(改正前:2.5倍した数)とすること。


D青色欠損金等の繰越控除制度における控除限度額について、繰越控除前の所得の金額の80%相当額とする。
中小法人等については、現行の控除限度額を存置すること。


E青色欠損金等の繰越期間を9年(現行:7年)に延長すること。


F法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を9年(現行:7年)とすること。


G上記Fに伴い、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を9年(現行:7年)に延長すること。


H貸倒引当金の適用対象法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定すること。


I一般の寄附金の損金算入限度額について、資本基準額と所得基準額との合計額の4分の1(現行:2分の1) 相当額に引き下げること。


2 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法

 平成24年4月1日以後に開始する事業年度から法人税額に対して10%の時限的な付加税が3年間課税されることとなりました。
 
 この付加税は、上記1の改正(法人実効税率の引下げ+課税ベース拡大)の実施とセットで行われることとなるため、法人税の税率は30%(現行)の税率を4.5%引き下げた上、28.05%(改正後)で実施されることとなります。



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2011年05月17日

月刊・企業再生サポート情報 bO14

★『東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律
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2011.05.17


税理士 宮 森 俊 樹



はじめに
 
 今般の東日本大震災による被害が未曾有のものであることに鑑み、現行税制をそのまま適用することが被災納税者の実態等に照らして適当でないと考えられるもの等について、緊急の対応として、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下「特例法」といいます。)」が平成23年4月27日に公布・施行されました。
 なお、この法律案において「東日本大震災」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及び原子力発電所の事故による災害をいいます(特例法2@)。
 本稿は、特例法の改正項目のうち、主な法人の税務上の対応について解説することとします。
 
1.申告期限の延長

@国税庁長官による告示
 国税庁長官による延長(国通令3@)の規定に基づき、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限のうち、図表−1に掲げる地域に国税の納税地を有するものに係るもの(その者の納付すべき国税に係る期限については、その国税の納税地がその地域にあるものに限ります。)で、その期限が平成23年3月11日以降に到来するものについては、その期限を別途国税庁告示で定める期日まで延長します(国税庁告示8:平成23年3月15)。
      図表−1 国税庁長官の指定地域
 


A交通手段や通信手段の遮断又はライフラインの遮断などによる申告・納付等の期限延長について

 今般発生した東日本大震災の被害状況に鑑み、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県以外の地域に納税地を有する納税者においても、東日本大震災の影響により図表−2のような事情が発生し、申告・納付等ができない場合には、申告・納付等の期限延長が認められます。
 申告納付等の期限延長を受けようとする場合には、状況が落ち着いた後に「災害による申告納付等の期限延長申請書」を所轄税務署に提出して下さい。また、申告等と併せてこの申請書を提出することもできます(国税庁:平成23年3月14日)。



図表−2 納税者の申請による申告・納付等の期限延長の事情

2 震災損失の繰戻しによる法人税額の還付

@ 適用要件
法人の平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に終了する各事業年度又は平成23年3月11日から同年9月10日までの間に終了する中間期間において生じた繰戻対象震災損失金額(欠損金額のうち東日本大震災により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のものに達するまでの金額をいいます。)がある場合には、その各事業年度に係る確定申告書又は当その間期間に係る仮決算の中間申告書の提出と同時に、その繰戻対象震災損失金額に係る事業年度又は中間期間開始の日前2年以内に開始した事業年度の法人税額のうちその繰戻対象震災損失金額に対応する部分の金額の還付を受けることができる措置を講じます(特例法15,同法23)。
A 罰則規定
 偽りその他不正の行為により、震災損失の繰戻しによる法人税額の還付を受けた場合には、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科します(特例法33)。




3.仮決算の中間申告による利子・配当等に係る源泉所得税額の還付

 法人の平成23年3月11日から同年9月10日までの間に終了する中間期間において東日本大震災により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のものがある場合には、その中間期間に係る仮決算の中間申告において、その中間期間において課される所得税額でその中間期間の法人税額から控除しきれなかった金額(その損失の額を限度)を還付する措置を講じます(特例法16,同法24)。



4.中間申告の特例

 東日本大震災に係る国税通則法の規定による申告期限の延長により、中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、その中間申告書の提出を要しないこととします(特例法17,同法25)。
 

5.被災代替資産等の特別償却

@適用要件
 法人又は個人が、平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、東日本大震災により滅失し若しくは損壊した建物、構築物若しくは機械装置若しくは一定の船舶、航空機若しくは車両運搬具の代替資産の取得等をしてその事業の用に供した場合又は建物、構築物若しくは機械装置の取得等をして被災区域及びその被災区域である土地に付随して一体的に使用される土地の区域内においてその事業の用に供した場合にはこれらの減価償却資産(被災代替資産等)の取得価額に、図表−3の区分ごとに、それぞれに掲げる償却率を乗じた金額の特別償却ができる措置を講じます(特例法11,  同法18,同法26)。
A被災区域の範囲

 上記@に規定する「被災区域」とは、東日本大震災により滅失(通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊を含みます。)をした建物等の敷地及びその建物等と一体的に事業の用に供される附属施設の用に供されていた土地の区域をいいます(特例法11@)。




6.特定の資産の買換えの場合等の課税の特例

 法人又は個人が、平成23年3月11日から平成28年3月31日までの期間(以下「対象期間」といいます。)内に、図表−4の買換えを行う場合には、その買換えに係る対象期間内に資産の譲渡をして、その譲渡の日を含む事業年度において取得をし、かつ、その取得の日から1年以内にその事業の用に供する資産について、その譲渡をした資産に係る譲渡利益金額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳(課税繰延割合100%)ができることとします(特例法12,同法19〜21,同法27〜29)。
 なお、個人については、取得価額の引継ぎができる措置を講じます(特例法12E)。
 
  図表−5 特定資産の買換えの範囲
 
 
7.代替資産の取得期間等の延長の特例

 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法64の2@)及び特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法65の8@)について、東日本大震災のため、代替資産又は買換資産をその取得すべき期間内(その末日が平成23年3月11日から平成24年3月31日までの間にあるものに限ります。)に取得をすることが困難となった場合には、一定の要件の下に、その期間を2年以内の範囲で延長することができることとします(特例法22,同法30)。


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