2018年04月01日

月刊  企業経営サポート情報 bO89

◆通勤途中の事故でも会社には安全配慮義務がある

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2018.04.01

特定社会保険労務士  川 端 重 夫


 従業員が業務中の事故で死亡したり、病気になったり、身体に障害を被った場合には「労働者災害補償保険法(以下「労災保険」という)」によって保険給付が行われます。 
 その多くは、過労による脳や心臓の病気による「過労死」や、心の病が原因の「過労自殺」とされています。今回の事件は『過労事故死』として、深夜勤務の帰宅途中にバイク事故で死亡した会社員男性(24歳)の遺族が起こした裁判で和解が成立し、通勤中の事故にも会社に『安全配慮義務』があるとされました。

事故の概要
  長時間の深夜勤務を終えて横浜市の職場からバイクで都内の自宅に帰る途中、午前9時頃電柱にぶつかる事故を起こして死亡。遺族は会社に損害賠償を求めて横浜地裁川崎支部に提訴。過労による居眠り運転が原因の事故と認められ、和解が成立しました。和解条件として、@会社が遺族に謝罪し、約7600万円を支払うこと A11時間のインターバル制度の導入 B深夜勤務にはタクシーの利用を促す等再発防止策に取り組むこと。
 裁判長は和解勧告で、「過労事故死」が多数発生している可能性に言及。「本件を契機に過労事故死の労働災害の事故の類型が公になり、対策が十分に推進されていくことが期待される」と述べました。

労災事故として認められるには
 労災事故と認められるには、次の判断基準があります。
@業務上の災害と認められるには
  業務上の災害となるには、災害に遭った従業員の業務と、その傷病等との間に相当因果関係(業務起
 因性)があることが必要です。つまり、業務に起因して(仕事が原因で)災害が発生し、その災害によ
 って労働者の傷病等が発生したことが証明されて、はじめて業務上の傷病等と判断されます。
A通勤災害と認められるには
  就業に関して、a.住居と就業の場所との間の往復、b.就業の場所から他の就業の場所への移動、
 c.単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を合理的経路及び方法によることとされています。また、
 往復または移動の経路を逸脱・中断した場合は、逸脱・中断以後は原則として通勤とされません。

今回の事例で会社が注意すべきこと
 今まで通勤事故を起こすと「本人の責任の事故」と考える遺族が多く、通勤災害として保険給付がされると、それで事故処理は終わったとされてきましたが、今後は事故の原因が何か(例えば、天気がよく視界がはっきりしている、ブレーキ痕がない、スピードを出したり前の車に異常に接近したりしていない等の特徴ある事故の場合には、睡眠不足の事故ではないかを疑う)、原因が疑われる場合には、専門家に相談するケースが多くなると考えられます。そこで、会社としては、従業員の過労状態によっては、早く帰るよう指導するとか、場合によっては通勤手段を把握して、午後11時以降は宿泊させるとか、タクシーを使用させるとかの判断基準を設定し、制度化する必要があるでしょう。少なくとも会社は、従業員の安全に、配慮しているという姿勢を、はっきりさせておくことが大事です。









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posted by 支援チーム at 09:00| Comment(0) | ◆社会保険労務士からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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