2014年12月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO57

▲平成26年 特許法等の改正
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2014.12.01



1.知的財産の法改正

 特許法における特許異議申立て制度の復活のほか、商標法における色彩や音の商標を保護する改正が、平成26年4月25日に可決・成立し、5月14日に法律第36号として公布された。
 余談になるが、知的財産に関する法律は、基本的に反対する政党がなく、(緊急性の高い法案の審議で先延ばしになることや、アノニマスのように著作権法の改正に反対する任意集団が公園の掃除をすることはあっても、)ほぼすべて国会を通ってしまう構図となっている。
 今国会でも、職務発明の見直しなど労使間での対立が予想される法案が先送りされたことなどから、平成26年の特許法等の一部改正として、可決・成立した。今後は、公布から1年以内(これまでの法改正から平成27年4月1日と思われる)に、この改正法が施行される。

2.色や音が商標として登録可能に

(1)法改正の必要性
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 法改正には、必要性が求められるが、商標法における色彩や音の商標の保護は、実際に産業界からのニーズが高かったわけではない。
 現行の商標法では、『「商標」は、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合・・・』と定義されており、色彩それ自体、音声、においは、商標の登録対象からは除外されているが、これらを求める社会的ニーズは高くない。
 というのも、色彩それ自体で識別力を発揮する場合は、それが特別なグラデーションになっているような例外的な場合を除いて、非常に限定的である。通常、色彩は、文字や図形等に付される付随的な構成要素に過ぎない。
 また、音や音声が識別力する場合も、それが特別なメロディや和音になっている場合など限定的である。通常、識別力を発揮する商標は、視覚を媒介として認識されるものであることを考えると、当然のことと思われる。
 それでは、なぜ、今回の法改正で、わざわざ色彩や音を保護対象とする法改正を行ったのだろうか?その理由は、韓国に先を越されたことだろう。米国との二国間協定で、日本に先んじて韓国は色彩や音を商標の保護対象としている。

(2)具体的な登録態様
 いずれにしても、我が国でも、法改正により色彩や音が商標の保護対象となった以上、これを自社のブランドとしてどのように活用するかが課題となる。
 例えば、色彩の商標については、図に示す法律案概要の参考資料にあるように、トンボのMONO消しゴムの3色の色彩のほか、コーポレートカラー(例えば、ティファニーブルー)といった1色についても、識別力が認められれば登録可能性が出てくる。
 また、音の商標については、同じように、法律案概要の参考資料にあるような久光製薬のコマーシャルフレーズのほか、インテルのコマーシャルフレーズなども登録されることなる。
 さらに、今回は、商標の定義自体を、『「商標」とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの・・』と変更したことから、ホログラムの商標、動きの商標や位置の商標も登録の対象となる。
 これを機に、自社を識別できる特徴要素をもう一度見直し、商標の積極的活用の機会とすべきであろう。

3.特許異議申立制度の復活

 復活というのは、もともと特許異議申立制度は、平成15年改正の平成16年4月1まで存在していたが、特許無効審判に統合され、廃止されていた。
 特許異議申立は、審査が終了して特許が付与されたものに対し(正確には、特許権の成立を公示する特許公報の発行から6カ月以内に)、異議を申し立てる制度であり、登録の信頼性を高めるものである。
 一方、特許無効審判は、特許権侵害訴訟に伴って当事者間で特許の有効性を争う場合が典型なように、権利の有効性を当事者間で争うものである。
 このように、特許異議申立と、特許無効審判とは目的を異にするものであるにも拘わらず、平成15年改正で統合されたのはなぜだろうか?
 答えは、(いろいろな説明はされているが結局のところ)特許庁の審理負担の軽減が本当だろう。
 そうすると、今回、特許異議申立制度が復活したのは、なぜか?その答えも特許庁の審理負担が少なったから(手が空いているから)というのも一理ある。
 ただ、特許異議申立制度が復活した理由は、もう少し複雑である。というのも、今回は、積極的に特許異議申立制度を復活させる必要があった。

 それは、早期審査の運用による影響である。通常、特許出願した内容が公開されるのは、出願から1年6カ月経過時の出願公開である。そして、この出願公開前に審査が終了するのは稀である。(参考までに、特許付与の平均審査期間は、29月、すなわち2年5カ月である。)
 しかし、早期審査を請求した場合には、出願から1年6カ月経過時の出願公開前に、特許が付与されてしまう。その結果、審査過程で第三者が情報提供を行うことができる情報提供制度が、機能しないという事態となっていた。特許異議申立制度を復活させたのは、このような(情報提供の機会なく)早期権利付与された特許の見直し制度を設ける必要性が生じたことによる。

 余談になるが、実務家として、短期間に特許網を形成する場合には、早期審査を利用することが多い。最初に、コンセプトで数件出願を行い、この数件について早期審査の事情説明書を提出する。早期審査の理由は、(@)中小企業、個人、大学、公的研究機関、TLOによる出願の場合、(A)外国関連出願の場合、(B)実施関連出願の場合、(C)グリーン関連出願の場合、(D)震災復興支援関連出願の場合など、多様であり、どれかには当てはめられる(どうしても困ったら、省エネを謳ってグリーン関連出願にすればよい)。
 そして、出願公開前に、特許査定を1件でも受けたら、これを中心に周辺出願を、この最初の1件の特許公報が発行される前に可能な限り行う。そうすれば、周辺出願は、障害になる先行技術文献がなく、最初の1件と特徴を基本的に同じくするためすべて特許査定に導け、特許網を形成することができる。

 今回、特許異議申立制度が復活するが、このような特許網の形成手法自体は、基本的に変わらない。理由は、特許異議申立制度は、成立した特許の取消のための制度であり、情報提供制度のように、そもそも特許を成立させないための制度ではないからである。
 ただ、特許網のすべての特許を異議申し立てにより取り消すことが困難だとしても、基本特許の1件程度を、関連する論文等を見つけて異議申し立てにより取り消すことはできるだろう。その意味で、今後は、競合他社の動向に注視し、新規開発等に伴う基本特許は、(仮に相手が早期審査により水面下で特許を取得しても)特許異議申立制度により確実に取り消しできるようにされたい。

4.意匠法の法改正

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 複数国に意匠を一括して出願可能なジュネーブ改正協定の加入に先立ち、国内意匠法の規定の整備を行った。
 これにより、意匠については、図に示すように、我が国特許庁を経由して複数の国に一括して出願することが可能になる。
 実際の施行は、ジュネーブ改正協定が我が国において効力を生ずる日以後になるが、海外の模倣品対策などは、意匠権の有無が大きな影響を与える場面もあるため、今後の活用が期待される。






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posted by 支援チーム at 11:00| Comment(0) | ◆弁理士からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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