2014年09月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO54

▲M&Aと土地の地目

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2014.09.01


1.地目が「田」の所有権移転

 M&Aに絡む地目が「田」の所有権移転で問題が生じたのでこの問題についてレポートしたい。
 地目が「畑」や「田」の場合には、「売買」「贈与」等「譲渡」を原因とする所有権移転の登記申請の場合に、都道府県知事や農業委員会の「許可」または、「届出」が必要とされる。

2.登記簿の地目は実際の地目と一致していないこともしばしば

 ただし、登記簿の地目は、実際の地目と一致していないこともしばしばあり、
 たとえば東京都練馬区などは、登記簿上の地目が「田」や「畑」であっても、実際には「宅地」や「雑種地(駐車場など)」として利用されており、登記簿上地目の変更がなされていないケースも多い。
 現在、練馬区内には、農地から他の地目に変更不可能な地域が存在しない。
 これら農地から他の地目に変更可能な地域を、農地のなかでも「白地」と称し、後述する「青地」と区別している。白地であれば、届出さえすれば、登記簿上の地目が「田」や「畑」であっても登記申請は受理される(本来、登記簿上の地目を「宅地」等に変更して所有権移転登記をするのが、好ましいが地目変更は1〜2か月程度の時間を要し、しかも土地家屋調査士への報酬もかかるため、一般的には地目を変更しないで所有権移転登記をしてしまうのがほとんどである)。
 練馬区の農地は同区内で全て「白地」の農地のため事実上「届出」さえすれば全ての練馬区内の地域で、登記申請が可能となる。

3.登記簿上の地目とは実際の利用状況を表示しなければならない

 ちなみに、不動産登記法上は、登記簿上の地目とは、実際の利用状況を表示しなければならず、
 もし、登記簿上の地目が実際の利用状況と一致しない場合には、登記官の職権で地目変更をすることが建前上許されている。
 不動産登記法の精神は、不動産の取引の安全に資することが大前提のため登記簿の地目と実際の利用状況が一致しないことは、不動産取引上好ましくないからである。

 しかし、後述するように「農地」だけは例外的に実際の利用状況と登記簿上の地目が相違する場合であっても直ちに、登記申請が受理される訳ではない。

4.「白地」と「青地」

 前述のとおり、農地には、いつでも他の地目に変更可能な「白地」と
 基本的に農地から変更できない「青地」と称される農地があり、この二つの地域が混在している市町村も数多く存在する。
 我々司法書士は、土地の取引の所有権移転登記の要請がクライアント(不動産仲介業者等)からあった場合には、まず、登記簿で土地の地目を確認し、「田」や「畑」の場合には、現地の農業委員会に「白地」なのか「青地」なのかを確認する。
 万一、「青地」であれば、その取引はほぼ不可能であるので、その旨をクライアントに通知しなければならないからである。しかし、クライアントも通常、「農地」の取引に農地法の許可等が必要なのは、よく知っているので通常の取引で、「青地」に出会う可能性は少ない。

5.M&Aを予定している会社の社長から・・・

 今回、M&Aを予定している会社の社長から、地目が「田」の上の土地に会社の工場が建っている会社の
M&Aについて相談があった。
 この農地は、完全な「青地」であり、このままの状態では、農地法上違法であり、コンプライアンス上、
M&Aは出来かねるとお応えした。ただし、この土地には、当該会社を権利者とする条件付所有権移転仮登記が登記されており、その登記から20年以上経過していたので、「時効取得」を原因とすれば旧所有者からの所有権移転登記は可能である可能性がある旨を答えた。

 「時効取得」は、民法上「原始取得」とされるため農地法の許可を要しないからである。しかし、「時効取得」を原因とする所有権移転であっても、その登記申請を受理した登記所から当該管轄の農業委員会に問合せがあり、その「時効取得」が真実かどうかの確認がなされる(そうしないと、旧所有者と新所有者との通謀で、虚偽の登記申請がなされる可能性があるからである)。

 今回は、時効取得(約20年以上に渡る当該会社による当該農地の占有)の事実を、農業委員会も把握していたため登記申請は受理された。

6.今後の展開の予想。

 今回、当該農地が会社所有となったが、当該会社を売主とする所有権移転登記は、基本的にすることができない。

 しかし、M&Aによって当該会社の株式の譲渡をすれば、譲受人は当該農地の完全な所有権を持つ会社を取得することができるし、会社分割(新設分割でも吸収分割でも可)を活用すれば当該農地を、新設会社または承継会社に移転することは可能である。

 会社分割は、包括承継であるので、これまた、農地法の規制を受けることなく農地の移転が可能だからである。一見、M&Aと農地は、全く無縁と思っていたが、今回、意外なところで繋がったので、非常に勉強になった登記であった。





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posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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