2014年06月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO51

▲知的財産権が無視される事態とその対策

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2014.6.01


《知的財産権の無効化》

 特許権、意匠権、商標権といった審査を経て確立された権利が無効化される場合としては、典型的には、無効審判が請求されて権利が取り消される場合が該当する。このほか、特許権等の侵害訴訟で被告側(侵害だと言われた側)が、特許権等の無効資料を準備し、権利無効の抗弁をする場合がある。

 いずれも、特許権等に無効理由があることが前提となる。すなわち、そもそも特許権等は有効な権利でないので、無効審判で取り消されたり、裁判所で有効な権利に基づく権利行使ではないと判断されるだけである。

《知的財産権が無視される事態》

 このほか、特許権、意匠権、商標権といった審査を経て確立された権利が無視されるケースが出てきている。このような知的財産権が無視されるケースの典型は、取引先とのパワーバランスである。

 本来、特許権、意匠権、商標権といった知的財産権は絶対的な権利であり、権利者以外の第三者の使用等は侵害として排除される。

 しかし、発注元(例えばセットメーカ)が、下請け企業(例えば部品メーカ)が保有する特許権を無視して、他の下請け企業に転注したりするケースがある。この場合、発注元は、その立場を利用して、下請け企業が特許権を主張して来た場合には、発注を停止するなどの対応(脅し)が可能であり、結果として、下請け企業は特許権を保有していても、実質的にその特許権が無視される。

《知的財産権が無視される原因》

 本来、知的財産権の取得および保有は、競争優位性を担保して価格競争に巻き込まれないためのツールの1つであるが、それが取引先とのパワーバランスから無視される。

 私見として、この原因の1つは、知的財産権自体が市場との関係とは無関係に成立している点にあると考える。すなわち、特許権は、経済的な価値とは無関係に、先行技術文献との対比による純粋技術的な判断で成立する。

 そのため、特許権が存在し、形式的には独占排他権という絶対的な権利が与えられても、市場性との関係ではその存在が否定されてしまう。その最たる例が、知的財産権の無視であろう。

《知的財産権が無視される事態に対する対応策》

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 知的財産権が無視される原因が、市場との関係性の希薄にあるとすれば、これに対する対応策は、知的財産権に市場との関係性を持たせることになろう。

 知的財産権に市場との関係性を持たせることは、まさしく知的財産戦略とマーケティング戦略と融合である。すなわち、知的財産戦略とマーケティング戦略との相互補完、相乗効果、代替効果、相殺効果などである。

 具体的には、STP、3C分析、5フォース(競争要因)、マーケティングミックスといったマーケティングの手法を知的財産戦略と絡めることで、知的財産権に新たな価値を付与することができる。

 例えば、知的財産権を絡めたマーケティングミックスを行うことで、製品(知的財産権も含めた製品自体)、価格、流通、プロモーションという4つのツールへの落とし込みができ、市場との関係で知的財産権に新たな価値が付与される。

 マーケティングミックスにより、製品、価格、流通、プロモーションという4つのツールへの落とし込みがされた製品は、もはや競争優位性が担保され、価格競争に巻き込まれないためのパッケージ(知的財産権を含む)として機能することになる。

 このように、知的財産権に新たな価値を付与し、知的財産権を市場との関係で機能させていく仕組み作りが今後ますます重要になってくるものと思われる。

 その意味で、私のクライアントには、マーケティングや商品プロデュースを研究している大学とのマッチングを積極的に勧めている。具体的には、東北工業大学ライフデザイン学部経営コミュニケーション学科の佐藤飛鳥研究室と連携して、権利化されていない知的財産および権利化された知的財産権を市場との関係で機能させていく試みを行っている。






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posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆弁理士からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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