2014年03月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO48

▲財産分与と詐害行為について

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2014.03.01

弁護士 安達一彦

 中小企業再生において、第二会社方式を採用する手法が増加しております。第二会社に事業譲渡、譲渡会社につき特別清算申立あるいは破産申立、譲渡会社の代表取締役につき破産申立をするのが典型的パターンです。

 ところで、上記再生案件において、代表取締役が妻子に財産を残すことが再生に役立つと考え、妻子に個人資産を贈与したり離婚のうえ妻に財産分与したりするケースがあります。
 このケースにつき、どのような問題点があるでしょうか。


1.贈与があった場合

 事業譲渡時において、代表取締役に多額の債務があり支払不能となっていることが通常ですが、このような状況で代表取締役が妻子に資産を贈与することは債務者が債権者を害することを知ってなした法律行為であるとされ民法424条により取消の対象となります。

2.財産分与があった場合

(1)離婚を仮装した場合

 妻に資産を移転する意思があった場合、贈与とみなされ詐割行為取消の対象となります。

 妻に資産を移転する意思がなく離婚が資産かくしの手段となっている場合、離婚及び財産分与は夫婦が相手方と通じてした虚偽の意思表示ですので、当該財産分与は民法94条により原則として無効となります。

 ところで、離婚を仮装しているか否かについて裁判所は下記事項に着目しております。


 @住民票を異にしているか。

 A同居の実態があるか。
  離婚後において夫が住民票を異にし単独でアパート等に居住しているように仮装してい  るが、当該居住地において夫により水道光熱費等が支払われた形跡がなく、夫が妻と同  居している実態がある。

(2)真実離婚が成立している場合

 真実離婚が成立し、財産分与がなされたとしても全資産を妻に分与する等財産分与の額が不相当な場合、問題となります。
 上記ケースは、債権者の利益(財産分与で配当財源がなくなった債権者をどのように保護するか)と妻の利益(離婚により社会的弱者となった妻をどのように保護するか)が衝突する場面、利益調整をどのように考えるかの場面です。
 最高裁判所(最判昭和58.12.19)は、下記のとおり判示しております。

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【判例】
【詐害行為取消請求事件】
【事件番号】最高裁判所第2小法廷判決/昭和57年(オ)第798号
【判決日付】昭和58年12月19日
【判示事項】離婚に伴う財産分与と詐害行為
【判決要旨】離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であリ、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情がない限り、詐害行為とはならない。

 離婚における財産分与は、夫婦が婚姻中に有していた実質上の共同財産を清算分配するとともに、離婚後における相手方の生活の維持に資することにあるが、分与者の有責行為によつて離婚をやむなくされたことに対する精神的損害を賠償するための給付の要素をも含めて分与することを妨げられないものというべきであるところ、財産分与の額及び方法を定めるについては、当事者双方がその協力によつて得た財産の額その他一切の事情を考慮すべきものであることは民法七六八条三項の規定上明らかであり、このことは、裁判上の財産分与であると協議上のそれであるとによつて、なんら異なる趣旨のものではないと解される。したがつて、分与者が、離婚の際既に債務超過の状態にあることあるいはある財産を分与すれば無資力になるということも考慮すべき右事情のひとつにほかならず、分与者が負担する債務額及びそれが共同財産の形成にどの程度寄与しているかどうかも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解すべきであるから、分与者が債務超過であるという一事によつて、相手方に対する財産分与をすべて否定するのは相当でなく、相手方は、右のような場合であつてもなお、相当な財産分与を受けることを妨げられないものと解すべきである。そうであるとするならば、分与者が既に債務超過の状態にあつて当該財産分与によつて一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として、債権者による取消の対象となりえないものと解するのが相当である。

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 最高裁判例に沿って考えますと、財産分与が不相当に過大な場合は詐害行為となり、そうでない場合は詐害行為にならないとの結論になります。
 なお、財産分与が相当か不相当かは、財産分与の3つの要素とされる

 @婚姻中の夫婦共同財産の清算(原則2分の1の割合で清算)
 A離婚後の弱者に対する扶養料
 B離婚による慰謝料
 …に着目し、
 @夫婦共同財産の清算額として相当額であるか否か
 A扶養料として相当額であるか否か
 B慰謝料として相当額であるか否か
 …を判断基準として決定されることになります。

  判断基準につき、税理士・右山昌一郎監修、税理士・宮森俊樹編集
  「和解をめぐる法務と税務の接点」200頁、一般財団法人大蔵財務協会 発行


【PDF】で印刷できます。



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