2013年08月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO41

★事業譲渡における労働者の権利と企業の責任

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2013.08.01

特定社会保険労務士  川 端  重 夫

 今回の事例は、営業活動の約半分を占める事業を譲渡する場合の諸手続きについて依頼があったものですが、譲渡価格や株主総会の手続きについては、弁護士・公認会計士の先生が担当し、従業員の移籍の伴う諸手続きについて社会保険労務士として担当した者として感じたことです。
 今回の事例は、社内では極一部の幹部社員のみで、事業譲渡に伴う色々な問題点、譲渡先との調整など極秘の中で行うということなので、打ち合わせや資料の確認などが大変でした。

1.事業譲渡には、従業員の個別同意が必要

 まず、事業譲渡が一部であっても、民法第 625条第1項により、従業員との個別同意が必要と言うことから始まりました。民法第 625条第1項は「使用者は労務者の承諾あるに非ざればその権利を第三者に譲渡することを得ず」となっているからです。
 同意を得なければならないのは少なくとも、退職金の支払額と支払時期、譲渡先での給与額の保障、残存している有給休暇の処置等です。

2.退職金について

 今回の事業譲渡は会社の都合によるものなので、支給率は会社都合となること。その他にどの位の加算金を上乗せするか。リストラではないが加算金を支給することとし、その額について様々な試算をしました。
 問題になったのは、退職金の適用のない契約社員、新入社員、高年齢の再雇用者等の取り扱いです。

 従業員への加算金の範囲内で支給することとしましたが、退職金の規程がないのに支払った場合の税務上の問題を検討し、取締役会で事業譲渡に伴う特別処置として決議して貰いました。
 結果的には、この加算金の額が多くの従業員の同意を得た要素ではないかと思います。
 譲渡価格が決定していない段階での決断でした。

3.給与額について

 給与額についてどのように説明するか。譲渡先の給与規程と当社の給与規程の比較から始まりました。
 業態は似ていても、給与規程は大きく違います。何回かの交渉の中で譲渡先の規程で決めることとし、総額は当面保障するということになりました。
 当社としてはどのくらいの期間保障されるのか、確認をしたかったのですか、当面は保障するということで決着せざるを得ませんでした。従業員も大きな関心をもっていましたが、納得してくれました。

4.有給休暇の扱いについて

 当初は、有給休暇の残はそのまま譲渡先に移管し、勤続年数もそのまま移管したいと申し出ましたが、譲渡先は、転籍後は新規に入社した者として取り扱いたい。従って、当社で解決して欲しいとなり、検討した結果、転籍前の残日数は買い上げるということにしました。問題になったのは、転籍日までに有給休暇の今後の取得予定日数の聞き取り調査が必要となったことです。

 というのは、その金額を退職金に上乗せすることにしたからです。退職金の計算に影響することになりました。退職金の支払時期が転籍後2週間以内との約束があったからです。結果的には間に合いました。

5.予期しない出来事がある

 転籍予定者の中の、産前産後休暇中の従業員、育児休業中の従業員、傷病のため休職中の従業員、契約社員の取り扱いです。
 この従業員の内、産前産後休暇中の従業員、育児休業中の従業員、契約社員については、そのまま引き続いて認めるが、同意をとって欲しい。傷病のため休職中の従業員については、休職期間中は社員として認めるが、休職期間満了時に復職が出来なければその時点で退職して貰うということになりました。
 結果的には、転籍予定者全員の同意書を取り付け、予定者全員が譲渡先会社に移籍しました。

 その他、ここでは書けない事項がたくさんありました。


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posted by 支援チーム at 12:00| Comment(0) | ◆社会保険労務士からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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