2013年07月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO40

◆相続における承認と放棄をめぐる問題点


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2013.7.1
 
弁護士 安達一彦

 個人事業主である被相続人が相当額の負債を残し死亡した場合、遺産及び負債の内容如何により相続を承認し事業を承継したい相続人はどのように対応したら宜しいでしょうか。
 
 上記相続人が相続放棄を選択する場合、相続放棄の申述までにまた相続放棄の申述後に留意すべき点はどこにあるでしょうか。


1.相続の承認・放棄の期間の伸長の申立を検討すること


 民法921条で、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内(この3ヵ月の期間を熟慮期間といいます)に、限定承認又は相続の放棄をしなかった時は単純承認をしたとみなすと規定しております。

 
 被相続人の事業に関わっていなかった相続人は、遺産の内容及び負債の内容が不分明であり、そのため相続を承認するか放棄するかの判断がつきかねるときがあります。


 そのような場合、当該相続人は家庭裁判所に対し3ヵ月の熟慮期間を伸長する申立をして、伸長された期間内に遺産及び負債の内容を調査することが肝要です。


2.みなし単純承認に留意すること


(1)相続財産の処分について

 民法921条で、相続財産全部又は一部を処分したときには単純承認をしたものとみなすと規定しております。

 相続人による相続財産の処分行為には単純承認の意思が含まれていると擬制できること(最判 昭42.4.27)及び財産処分を信頼した第三者の保護を図る必要があることから、みなし単純承認規定がおかれたのです。


 修繕等保存行為、葬儀費用の支出(但し、社会的にみて相当な金額の場合)、請求・催告は処分行為に該当しません。

 但し、請求・催告を超え取立行為をすることまた相続人が相続財産に関する訴訟を提起追行することは、処分行為に該当するとされております。(東京高判 平元.3.27)

 生命保険金については、保険契約上、相続人が受取人として指定されている場合には、当該相続人がこれを受領し処分しても相続財産の処分には該当しません。


(2)相続放棄後の背信行為について

 民法941条で、相続人は相続放棄をした場合にはその放棄により相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけると同一の注意をもって財産の管理を継続しなければならないと規定しております。


 それにもかかわらず、相続放棄した相続人が相続財産を隠匿、私に消費する等背信行為をした場合には、相続放棄の申述が受理されている場合でも、単純承認したものとみなされ、債権者に対し債務の履行をしなくてはいけない状況となります。


@「隠匿」について

 形見分けが隠匿に当たるか否かについて、判例は被相続人の遺品のほとんどすべてを自宅に持ち帰った行為は、形見分けを超えるものであり、隠匿に該当するとしております。(東京地判 平成12.3.21)


A「私に消費」について

 ほしいままに相続財産を処分することは「私に消費」とされます。
 例えば、相続財産をもって、相続人固有の債務を弁済することは原則として「私に消費」に該当いたします。



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