◆再生企業の体質改善は「価格決定権」が決め手だ!
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2013.4.1
リスク・カウンセラー 細野孟士
平成21年12月4日に施行された『中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」』により、リスケ対策を実施して事業再生に取り組んできた企業において具体的な成果が出せない状況下で「事業改善計画書」の作成の目処も立てられないまま平成25年3月31日で同法が打ち切られることとなり、今後の経営継続が危ぶまれる小規模企業が続出することが心配されています。事業再生を堅実に実行する為の「事業改善計画書」作成の要諦について、基本的な考え方と、どのような手順で取り組み、作成していけばよいのかを確認し、自社が取り組んでいる経営改善計画のあり方について一考していただきたい。
1.「事業改善計画書」で“経営理念”と“事業目的”を明確にすること
経営危機に陥った企業が再生を目指すには、過去の問題点を徹底的に洗い直す。
これまでの失敗の轍を踏まないように、どんな手順で改善していくか決定します。
そして、社長の想いや決意を“経営理念”として表明し、再生企業が経営改善後に進む方向性を“事業目的”“事業方針”“事業計画”と、明確にすることです。
特に大切なことは、◆金融機関との取引は対等であるという認識、◆事業は確実に利益を生む「ビジネスモデル」であることを確認し実行すること、◆得意技を利益に結びつける意識改革 ◆コミュニケーション力のアップです。
2.“価格決定権”を持てる企業へと転身
代理店は“販売下請け”、町工場は“製造下請け”と、いずれの場合においても、殆ど自社にて“価格決定権”を作り出すことは難しいことです。
時流(流行や社会ムード)に乗ることによって、一気に事業の拡大が図れると安易な事業拡大の展開をすることは慎しみつつ、他力に頼らず自社の努力によって達成できるよう取り組むことです。
自社で“価格決定権”を獲得するには“下請け制度”の枠組みから脱皮するか、枠組みの中で必要不可欠な存在になるなることです。それには……
独自の販売方法の発想、独自の生産技術、独自の顧客サービス、研究して練り上げた管理手法、他社に負けないビジネスモデル、ユニークなネーミングなど、知的財産(特許、実用新案、意匠登録など)も重要になっています。
3.「下請け企業」という形態からの脱皮を目指す
日本の事業所の99.7%は中小零細企業が占めていて、その70%強の企業が赤字であるという実態は、由々しき問題でありますが、その赤字会社のほとんどの企業が“価格決定権”を持っていない状況が見受けられます。
●モノ造りの下請け
急激な売上増加を目指すことより、会社として固有の財産となるような知財、技術力、高付加価値を生む工程管理など、徹底した体質改善が求められます。
高付加価値製品の開発に時間を割き“ブランディング化”をはかること。
●販売下請けのプロに…
代理店、小売店は、販売ルートにおける下請けです。“価格決定権”は認められにくい実態の中において利益を生むには、独自の販売モデルを生みだし顧客からの信頼関係を築く努力、無駄な商品仕入れの排除など、差別化への工夫は多々考えられます。
●施工・工事の付加価値は…
材工による施工事業のポイントは、材料(商品)を熟知した技術者(施工職人)を育成することと会社に定着させることです。それは、迅速でムダを出さない正確な“作業段取り”と“安定した品質”を維持し続けることさえできれば、“高付加価値”を生む事業を実現できるのです。
それは、結果として自社の努力によって“価格決定権”を手に入れたことになるのです。
『事業改善計画書』の作成方法は支援チームにご相談ください。
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