2013年02月07日

月刊・企業再生サポート情報 bO35

★社内における適切な知財活動の見直し
企業再生サポート情報-035.JPG
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2013.02.01
 
弁理士  酒 井 俊 之


1.適切な知財活動を評価できない

 知的財産の世界では、問題のあるケースだけが顕在化するので参考にしてください。

(1)特許権侵害で訴訟に発展するケース

 そもそも権利範囲が不明確であることが多い。
 権利者側が侵害品が権利範囲に入ると主張もでき、一方、侵害者側も権利範囲外であると主張もできてしまう。これが、権利範囲が明確であれば、訴訟まで発展せずに、それ以前に(例えば警告や警告に対する回答の段階で)黒白がつきます。

(2)特許出願をしたが、最終的に拒絶されて権利化できないケース

 出願時に先行技術調査が不十分であったり、先行技術との差別化が不明なまま出願していたり、必要な実験データを十分に揃える前に見切り出願をしていたりといった具合である。◆一方で、知財の世界では、適切な知財活動が行われていることも評価できないのです。
【事例】 先行技術調査を十分に行い、先行技術と差別化をして、権利範囲もそれなりに広い権利を取得できたとしても、その権利で、他社がどれだけ設計変更が必要になり、設計変更のためにどれだけ損失を出して、どれだけ研究開発を遅れさせることができたかは測れません。◆そのため、知財の世界では、ひとまず数(出願件数や保有特許数)で評価を行うか、せいぜい一歩進んで、パテントマップを描いて(それなりに権利範囲も加味した)パテントポートフォリオ(特許群)を解析すると言った手法が取られてきました。


2.競争環境の変化の実態

 適切な知財活動を評価しようがないと言った事情から、多くの日本企業は、数の競争(一歩進んでパテントポートフォリオの形成)を、競合する日本企業同士で行ってきました。◆自動車業界では、未だに日産は、トヨタ、ホンダを意識して、数の競争(パテントポートフォリオの形成)をし、家電業界では・・・・、日立は、パナソニック、東芝、三菱電機を意識して数の競争(パテントポートフォリオの形成)をしています。
 ここに来て、競争環境が大きく変わりました。中国企業、韓国企業をはじめとする新興国企業の台頭です。


【事例】 中国の自動車会社であるBYDは、製品開発の60%を日本企業をはじめとする外国企業の特許公報の情報に依存している。残りの40%も自社開発でなく、30%はリバースエンジニアリング(競合製品の分解解析)であり、自社開発は僅かに10%である。その結果、出来上がった製品は、BYDのHPにもあるように、ほぼコピー製品である(写真中、左側はトヨタのエスティマに酷似している)。
35中国車.jpg
 知財で守られるはずと思うかもしれませんが、特許権をはじめとする知的財産権は、属地主義の原則の下、各国での権利取得が必要となります。◆BYDが外国企業の特許が存在しない国で製品を製造し、これを同じように特許のない国で販売しても、いずれも権利侵害には問われないのです。


【事例】 
人を介した情報の流出があります。中国企業、韓国企業をはじめとする新興国企業がグローバル企業に成長した背景には、情報化による技術情報の入手容易性のほかに、企業内においてノウハウ(営業秘密)として管理されていない情報が人を介して流出している点が挙げられます。
 生産技術や設計情報などが、退職技術者等によって海外企業へと流出してしまうわけで、何らかの法的保護(例えば不正競争防止法の営業秘密の保護)が受けられそうに思いますが、そもそも社内において秘密に管理されていない情報は営業秘密として保護されないのです。そのため、社内において、何がノウハウであって、それをどのように管理するかを見直す時期に来ているのではないでしょうか。


3.社内における知財活動の見直し

 知財の世界では、そもそも知財活動が評価できないだけでなく、国内の競合他社を意識した知財活動では意味をなさなくなって来ています。
 そこで、自社の適切な知財活動を評価検討してほしいという依頼が増えています。具体的には、今まで行ってきた知財活動(出願までのプロセスや弁理士が行った手続の適切性など)をセカンドオピニオン的に再評価すること、そして、自社の知財活動をカスタマイズして再構築することが重要課題となっているのです。
 これは大企業から中小企業まで同じ局面にあり、日本企業は、そのような知財的な岐路に立たされていると言えます。是非、今、自社やクライアント先の企業の知財活動を見直してみてはいかがでしょうか。

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posted by 支援チーム at 16:55| Comment(0) | ◆弁理士からの情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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