2012年03月21日

月刊・企業再生サポート情報 bO24

▲経営者が痴呆症になった場合のリスク 
 
企業再生サポート情報-024.JPG

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2012.03.21

司法書士・行政書士  星 野 文 仁



1.企業再生には経営者の「意思表示能力」が絶対条件

 一ヶ月ほど前に、日経トップリーダーという雑誌の記者から「経営者が痴呆症になったらどうなるか?」というテーマで取材を受けた。

 この取材を受けてみて、会社の経営者(しかも取締役が一人しかいない場合)が痴呆症になった場合のリスクを改めて考えさせられた。

 平成18年、会社法施行により株式会社には、取締役会(つまり三人以上の取締役)を置くことが義務付けられなくなり、一人取締役でも会社設立が可能となったが、もし、この一人取締役が痴呆症や意思表示不能となってしまったらどうなるのか?


 「経営者の痴呆症」というと本稿の趣旨である、「企業再生」と少し離れてしまうと感じられる方もいらっしゃるかも知れないが、痴呆または意思表示不能という事態は企業再生にも多大な影響を及ぼすため敢えて本稿でご紹介したい。 


2.M&A直前に社長の「意思表示能力」がなくなり白紙撤回…失敗事例

 つい最近まで、私が手がけていた「会社分割とM&Aを使った企業再生」において、一人取締役であるA社長が、意思表示不能となってしまった。A社長の経営するB社は、中国地方のある都市で、飲食店業と飲料水製造業を営んでいる。飲食店業は創業以来順調にその業績をのばしてきたため、数年前から多角経営の一環として地元の名水を使った飲料水の製造を始めた。
 最初の2〜3年は、健康ブームと食の安全指向から順調に業績を伸ばしてきたが、ここ数年は赤字続きであり、しかも当初考えていた以上に設備投資がかかるため飲料水事業からの撤退を模索していた。
 そんな時に、B社の顧問税理士から飲料水部門のM&Aの話が持ち上がった。


 B社の飲料水部門を、新設分割により分社化してC社を設立し、C社だけを九州の地元有力食品メーカーであるD社に売却するという内容だった。

 A社とすれば、このM&Aの話は願ってもないことで、飲料水部門(C社)をD社が買ってくれるなら飲料水部門の従業員の雇用は確保できるし、何より債務超過部門を高値でD社が買ってくれるのだ。


 話はとんとん拍子で進み、ほどなく、C社をB社から会社分割することを条件として、分割後のC社(飲料水部門)株式を、D社がB社から全株買い取る最終合意契約を締結することができた。


 しかし、ここで予測もしなかった事態が発生する。A社長が脳溢血により倒れてしまい、意思表示することが不可能となってしまったのだ。もちろん、株式譲渡の条件となっている会社分割が不可能となり、結局このM&Aの話は、白紙撤回せざるを得ないことになってしまった。


 もし、B社が取締役会設置会社であれば、残りの取締役で新たな代表取締役を選定し、会社分割を行って株式譲渡契約を実現できたはずである。

 しかし、取締役が一名だったため後任者の選任ができず企業再生に失敗してしまったのである。


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posted by 支援チーム at 09:29| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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