2016年11月01日

月刊・企業再生サポート情報 bO78

★株主と経営者の高齢化問題
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2016.11.01


.株主の認知症と成年後見人議決権行使の問題

 現在進行形の実話である。M&Aの対象会社(以下、「対象会社」という。)の大株主が認知症となってしまっている事例がある。現在、この大株主の成年後見手続きを行っているが、非常に悩ましい問題があるので、レポートさせて頂きたい。

 まず、認知症となってしまった被成年後見人の議決権を、成年後見人が行使できるかという大問題がある。明確な条文や判例は今のところないが、家庭裁判所や法律家の一部の見解では、「成年後見人は、被成年後見人の議決権を行使することができない。」ということである。

 なぜなら、「議決権の行使」は、財産権の行使とは言えないためである(もっとも、成年後見人は、法定代理人なので、議決権を行使できるとの説もある)。
 この問題が、なぜ大問題かと言うと、今回の対象会社は、たまたま株式の譲渡につき制限を設けていない公開会社であったため、成年後見の審判が確定し、対象会社の株式の譲渡について家庭裁判所の許可が得られれば、第三者に対し株式譲渡することが可能となる。

 しかし、この会社が普通の中小企業のように株式の譲渡制限のある非公開会社であって、しかも、株式譲渡制限の承認機関が「株主総会」であったならば、話は少しややこしくなる。なぜなら、たとえ株式の譲渡につき家庭裁判所の許可が得られたとしても、対象会社の株式譲渡の承認が不可能となる可能性があるからである。

 もし、この大株主が対象会社の株式を100%有しているならば、株式譲渡の承認を得ることはできないかもしれない。成年後見人には、議決権を行使できる根拠がないからである(もっとも、もしこのような事例の場合には、議決権の行使が財産権の行使の一環と捉えられる余地がありそうな気がするが・・・)。

2.経営者の認知症

 こちらもつい最近の実話である。ある高齢者が不動産を売却しようとして、本人確認及び意思確認を行った。不動産仲介及び家族からは、「本人は耳が少し遠いが、意思表示は明確にできる。」とのことで、本人が現在入居している老人ホームに伺った。

 すると、本人は意思表示することはおろか、全く意思表示することが不可能であったため、成年後見制度を利用しないと不動産売買はできないとの説明を行い、成年後見制度を利用することになった。ここまでは、良くある話である。  

 しかし、この高齢者はある会社の代表取締役であり、この会社の代表者はこの人しかいないとのことであった。
このケースでは、成年後見の審判が確定するとこの高齢者は、取締役の欠格事由に該当し、取締役の地位を失い、結果として代表取締役の地位も失うことになる。たまたまこの会社は取締役会設置会社で、取締役が4名以上いたため後継者を、スムーズに選任することが可能な会社であった。しかし、もし、この会社が、取締役会非設置会社で、取締役が1名しかいなかったとしたら、後継取締役を選任することが難しくなる。場合によっては、裁判所に申し立てを行い仮取締役の選任の申立をしなければならなかったかもしれない。

 我が国は、高齢化社会が急速に進んでいる。高齢者の認知症に対して、今から早く手を打たないと、社会が上手く機能できなくなる恐れがあるかも知れない。



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posted by 支援チーム at 10:00| Comment(0) | ◆司法書士からの情報…企業再編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする